セッション情報 特別企画 初期研修医(卒後2年迄)

タイトル W-04:

インフリキシマブ投与により間質性肺炎を発症した潰瘍性大腸炎の1例

演者 宮澤 弘哲(日本海総合病院 消化器内科)
共同演者 嶋田 奉広(日本海総合病院 消化器内科), 西塚 麻代(日本海総合病院 消化器内科), 池田 千咲(日本海総合病院 消化器内科), 菅原 心平(日本海総合病院 消化器内科), 渋谷 りか(日本海総合病院 消化器内科), 早坂 高志(日本海総合病院 消化器内科), 吉田 尚美(日本海総合病院 消化器内科), 折居 智彦(日本海総合病院 消化器内科), 青木 政則(日本海総合病院 消化器内科), 鈴木 義広(日本海総合病院 消化器内科), 今泉 和臣(日本海総合病院 消化器内科)
抄録 【症例】72歳男性【主訴】腹痛、発熱、下痢、下血【既往】糖尿病【家族歴】特記事項なし【現病歴】平成24年9月中旬より腹痛、下痢、下血が見られるため近医受診。採血にて炎症反応が高く感染性腸炎を疑い当院紹介【経過】初診時の採血にて高度の炎症反応と白血球増多を認め、同日行ったS状結腸までの下部内視鏡検査上、直腸から連続性に瀰漫性炎症、潰瘍、出血を認め潰瘍性大腸炎(UC)が疑われた。即日入院し絶食、点滴投与とともに、感染性腸炎の存在を念頭に置いて便培養、抗生剤投与を行った。後日の下部内視鏡検査の結果、全結腸型UC、生検にてMatts4と診断されたためメサラジン2400mg/dayとプレドニゾロン40mg/day、さらに中心静脈栄養管理と白血球除去療法(合計10回)行った。これにより腹痛がわずかに軽減したものの下血が改善せず、インフリキシマブ5mg/kgを開始。1回目の直後から下血が減少し腹痛も消失するなど著明な効果が期待され、2回目を行った。しかしその翌日より呼吸困難が出現し、SpO2 93%(O2 6L/min.)が低下したため胸部CTを施行したところ、間質性肺炎(IP)と診断された。直ちにステロイドパルス療法を開始したが徐々に呼吸不全が進行しSpO2 90(O2 15L/min.)にまで悪化したことから、気管内挿管、人工呼吸器管理とした。その後治療が奏功し、呼吸状態が徐々に改善。IP発症から7日目に抜管した。その後下血は消失したものの、腹痛が強く内視鏡的にも潰瘍が持続するため外科的治療を検討中である。【考察】UCに対するインフリキシマブ投与は24年8月までに全国でおよそ4000症例があり、62例の重篤な副作用が報告されている。その中でIPは8例(0.2%)と稀である。今回、我々はインフリキシマブ投与が原因と考えられるIPを発症したUC症例を経験したため文献的考察を加えて報告する。
索引用語 インフリキシマブ, 副作用