セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
O-06:経口抗CMV剤を併用し、寛解導入した難治性潰瘍性大腸炎の1例
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演者 |
野口 光徳(野口胃腸内科医院DELIMITER仙台社会保険病院消化器内科) |
共同演者 |
上西 博(仙台社会保険病院消化器内科), 菅井 俊一郎(仙台社会保険病院消化器内科) |
抄録 |
【背景】潰瘍性大腸炎(UC)の難治化の要因として、サイトメガロウイルス(CMV)感染症の再活性化があげられている。経口抗CMV剤の併用により、寛解導入した1例を報告する。【症例】63才 男性 平成3年 43才時に直腸炎型UC発症。糖尿病を合併し、再燃を繰り返していた。サラゾピリン、ペンタサ注腸併用し、寛解を維持していたが、平成23年4月震災後に血便4~5回に増加。内視鏡上、口側進展を呈し、プレドニン20mg/日を併用したが、不応のためにタクロリムスを併用した。HbA1c 9.7 %(JDS)に増悪し、インスリン併用し、プレドニンを減量した。タクロリムスのトラフ値 平均12.9ng/mlで維持し、症状は軽快したが、タクロリムス3ヶ月で終了後、再燃した。そこでプレドニン20mg/日に増量、さらに白血球除去療法(LCAP)を開始した。 LCAP開始時にCMV IgG 陽性、CMV IgM 陰性。CMV antigenemia 4~6/15000個陽性。内視鏡検査にて直腸punched out様潰瘍病変の生検標本からCMV抗体免疫染色陽性細胞を認めたため、CMV腸炎合併UCと診断。LCAP時にガンシクロビルを投薬した。外来LCAP治療時からは、経口抗CMV剤(バルガンシクロビル)900mg/日3週間の治療を併用した。LCAP10回治療後、プレドニン減量し、タクロリムス再投与後、寛解導入された。再開後のトラフ値7.7~9.3ng/mlのタクロリムス投与量で、総6ヶ月の投与を要した。ステロイド減量、離脱後、インスリンも離脱、CMV antigenemia陰性で内視鏡上改善を認めた。【結語】易感染性因子の糖尿病コントロールとステロイド減量に加えて、経口抗CMV剤の投与が、CMV合併難治例の寛解導入に有効と考察された。 |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, サイトメガロウイルス |