セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-81:膵体部区域性脂肪置換の一例 |
演者 | 小林 敏一(置賜広域病院組合 公立置賜総合病院 消化器内科) |
共同演者 | 堀内 素平(置賜広域病院組合 公立置賜総合病院 消化器内科), 須貝 彩子(置賜広域病院組合 公立置賜総合病院 消化器内科), 渡邉 祐介(置賜広域病院組合 公立置賜総合病院 消化器内科), 齋藤 裕之(置賜広域病院組合 公立置賜総合病院 消化器内科), 赤松 学(置賜広域病院組合 公立置賜総合病院 消化器内科), 高野 潤(置賜広域病院組合 公立置賜総合病院 消化器内科), 安藤 嘉章(置賜広域病院組合 公立置賜総合病院 消化器内科), 大村 清成(置賜広域病院組合 公立置賜総合病院 消化器内科), 武田 忠(置賜広域病院組合 公立置賜総合病院 消化器内科), 渡辺 晋一郎(置賜広域病院組合 公立置賜総合病院 消化器内科), 齋藤 孝治(置賜広域病院組合 公立置賜総合病院 消化器内科), 新澤 陽英(置賜広域病院組合 公立置賜総合病院 消化器内科) |
抄録 | 【症例】67歳男性【主訴】心窩部痛【既往歴】COPD、気管支喘息、脂質異常症にて通院中、転落転倒などの外傷の既往なし【生活歴】喫煙なし、焼酎水割り2杯/日【現病歴】平成23年12月27日に心窩部痛が出現し、近医受診。急性膵炎と診断され入院治療を受け膵炎は軽快したが、尾部の主膵管拡張が残存し膵液流出障害が疑われたため、翌年1月12日に精査目的に当院に転院。【経過】腹部USでは膵体部に5mmほどの高エコーの結節様腫瘤が疑われ、その尾側の主膵管は5mm径に拡張し、実質の粗造な変化・点状高エコーがみられた。EUSでは膵体部主膵管に4 mm長の狭窄と尾側主膵管の拡張を認めた。明らかな腫瘤性病変は指摘できなかった。MDCTやMRI/MRCPでは膵体部主膵管に限局的な狭窄がみられ、その周囲の実質は確認できなかった。明らかな腫瘤性病変は指摘できなかった。ERCPでは膵体部に10 mm程度の主膵管の狭窄長を認め、その尾側膵管は径4 mmほどに拡張していた。狭窄部では分枝がわずかに造影され、不整や偏位は認めなかった。膵液細胞診では悪性細胞は認めなかった。これらの所見より、膵体部に限局した強い脂肪置換、もしくは原因不明の萎縮に伴う主膵管の狭窄および尾側の主膵管拡張と考えた。悪性疾患合併の危険性を否定できなかったため手術を勧めたが本人希望により厳重経過観察の方針となった。退院2か月後の4月1日に急性膵炎を再度発症した。膵炎改善後にERCP行うと、主膵管狭窄部に変化は見られなかったが膵液細胞診が陽性であったため、5月14日に膵体尾部切除術及び脾摘術を施行した。病理組織像では主膵管狭窄部に一致して上皮内癌がみられ、その周囲組織のみに区域性の脂肪置換を認めた。【考察】一般に膵臓の脂肪置換は膵全体にびまん性にみられ、限局的な脂肪置換例は極めて稀である。また、膵虚血が脂肪置換を引き起こす重要な因子と考えられているが本症例では血管閉塞を疑う血栓形成は認めなかった。本症例では癌と脂肪置換の位置が一致しており、癌により脂肪置換が生じた可能性も考えられた。【結語】区域性の脂肪置換を伴う膵上皮内癌の症例を経験した。文献的考察も加えて報告する。 |
索引用語 | 脂肪置換, 膵癌 |