セッション情報 |
ワークショップ「胆膵疾患診療のup to date」
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タイトル |
WS-07:膵仮性嚢胞に対する内視鏡治療の現況について
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演者 |
粂 潔(東北大学大学院消化器病態学分野) |
共同演者 |
菅野 敦(東北大学大学院消化器病態学分野), 正宗 淳(東北大学大学院消化器病態学分野), 下瀬川 徹(東北大学大学院消化器病態学分野) |
抄録 |
【背景】膵仮性嚢胞に対する内視鏡的ドレナージには経乳頭的と経消化管的ドレナージがある。経乳頭的ドレナージは仮性嚢胞と主膵管との間に交通がある場合や、仮性嚢胞の乳頭側に主膵管狭窄がある場合に適応とされる。経乳頭的ドレナージの困難例に対しては、EUS-FNAの手技を応用した経消化管的ドレナージが行われる。しかし急性膵炎後の仮性嚢胞感染や感染性膵壊死などでは、膿瘍内に壊死物質が多量に存在しており外科的な開腹手術が必要となることも多い。最近ではこのような膿瘍や感染性膵壊死に対する新しい治療法として、NOTESを応用した内視鏡的洗浄やネクロセクトミーが行われつつある。【対象】2003年1月から2012年10月までの約10年間に、当科にて治療された膵仮性嚢胞及び感染性膵壊死患者33例を対象とした。【成績】経乳頭的ドレナージを施行した患者は22例であり、その平均嚢胞径(±SD)は70±41mm、感染合併例は4例(18%)であった。重篤な合併症は認めなかったが、膵管空腸吻合術を含めた外科治療への移行例は12例(55%)であった。一方、EUS下穿刺嚢胞ドレナージ術を試みた11例中11例(100%)において手技が成功し、合併症としては輸血を要する出血を1例に経験した。平均嚢胞径は99±45mmで経乳頭的ドレナージ群に比べ有意に大きく(p=0.007)、感染合併例も7例(64%)と有意に高頻度であった(p=0.018)。処置後の経過は3例(27%)が外科治療に移行し、4例(36%)は内瘻ステントを留置し外来通院、3例(27%)はNOTESによる内視鏡的ネクロセクトミーを行い、内瘻ステントにて外来通院中である。NOTESに伴う重篤な合併症は認めなかった。【結論】当科での膵仮性嚢胞ドレナージの現況について報告した。特に感染性膵膿瘍や巨大な仮性嚢胞の治療においては経消化管的ドレナージが良い適応と考えられた。NOTESを行った3例はいずれも経過は順調で、開腹術を行わず早期に退院可能であった。ただし本邦での報告例はまだ少なく、合併症等に留意しながら慎重に適応を決定する必要があると考えられる。 |
索引用語 |
膵仮性嚢胞, 治療 |