セッション情報 一般演題

タイトル O-86:

当施設で経験した自己免疫性膵炎28症例の再検討(2011年臨床診断基準を基に)

演者 杉本 充(福島県立医科大学 消化器リウマチ膠原病内科学講座)
共同演者 高木 忠之(福島県立医科大学 消化器リウマチ膠原病内科学講座), 入澤 篤志(福島県立医科大学 会津医療センター準備室 消化器内科), 引地 拓人(福島県立医科大学付属病院 内視鏡診療部), 佐藤 匡記(福島県立医科大学 消化器リウマチ膠原病内科学講座), 池田 恒彦(福島県立医科大学 消化器リウマチ膠原病内科学講座), 渡辺 晃(福島県立医科大学 消化器リウマチ膠原病内科学講座), 中村 純(福島県立医科大学 消化器リウマチ膠原病内科学講座), 藁谷 雄一(福島県立医科大学 消化器リウマチ膠原病内科学講座), 小原 勝俊(福島県立医科大学付属病院 内視鏡診療部), 大平 弘正(福島県立医科大学 消化器リウマチ膠原病内科学講座)
抄録 【背景】自己免疫性膵炎(Autoimmune Pancreatitis:AIP)は自己免疫機序が原因となっている膵の炎症であり,近年ますます報告例が増加している。2010年には,lymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis(LPSP)を1型,idiopathic duct-centric chronic pancreatitis (IDCP)を2型とする国際コンセンサス基準(International Consensus Diagnostic Criteria:ICDC)が提唱された。一方、わが国では2型AIPは稀であることと,一般医でも使用できることを目的に1型AIPを対象とする臨床診断基準が2011年に提唱された。当院で経験したAIP症例を同基準に照らし合わせて報告する。【対象】2003年7月から2012年8月まで当院で経験したAIP 28症例。【結果】1.年齢(平均 60 歳,43-79歳),2.性別(男性 23例、女性 5例),3.飲酒歴(あり 11例,なし 12例,不明 5例),4.膵腫大(びまん性 14例,限局性 14例(内訳は頭部 3,頭体部 2,体部 1,体尾部 3,尾部 5),5.主膵管狭細像 ERP施行例18例中17例,6.高IgG4血症(≧135 mg/dl) 25例,平均 498mg/dl(141-1480),7.膵外病変(胆管炎 12例,涙腺・唾液腺炎 3例,後腹膜線維症 3例),他,潰瘍性大腸炎の合併が2例,8.病理所見は1例で手術標本にてLPSPと診断されている。超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)は全例で施行し(22G針),1例で腺房細胞癌と診断され手術に至っているが、他全て悪性は否定されている.FNA検体によりLPSPと診断できたものは2例であった。9.診断は確診 15例,準確診 7例,疑診 6例。【考察】膵腫大,ERPでの膵管狭窄像,高IgG4血症からほとんどの症例が,2011年の臨床診断基準で診断可能であった.EUS-FNAはAIPの確定診断には十分な組織量をえられなかったが,ほとんどの症例で悪性を否定することができた。高IgG4血症を示さない症例が4例みられたが,画像所見,EUS-FNA,ステロイドの効果判定から診断することできた。その中の2例で潰瘍性大腸炎の合併がみられたが,欧米で多数報告されている2型AIPの可能性が示唆された。
索引用語 自己免疫性膵炎, IgG4