セッション情報 一般演題

タイトル O-59:

アルコール多飲者に発生した結節性再生性過形成(NRH)の1例

演者 勝見 智大(山形大学 医学部 消化器内科)
共同演者 奥本 和夫(山形大学 医学部 消化器内科), 冨田 恭子(山形大学 医学部 消化器内科), 佐藤 智佳子(山形大学 医学部 消化器内科), 石井 里佳(山形大学 医学部 消化器内科), 西瀬 雄子(山形大学 医学部 消化器内科), 渡辺 久剛(山形大学 医学部 消化器内科), 斎藤 貴史(山形大学 医学部 消化器内科), 上野 義之(山形大学 医学部 消化器内科)
抄録 結節性再生性過形成(Nodular regenerative hyperplasia;NRH)はSteiner(1959)により提唱された形態的概念であり、肝硬変のない肝臓にびまん性に発現する結節性病変である。今回我々は、アルコール多飲者に発生し限局性脂肪化(focal fatty change)との鑑別を要したNRHの1例を経験したので報告する。【症例】44歳男性【既往歴】35歳、糖尿病、アルコール性肝炎、気管支喘息【飲酒歴】焼酎700ml/日【現病歴】35歳よりうつ病にて精神科加療、シナマイド、気管支拡張剤、抗痙攣剤内服中であったが自己中断し飲酒は続けていた。喘息発作あり近医受診、腹部超音波、CT検査にて転移性肝腫瘍が疑われ精査加療目的に当科紹介受診、入院となった。【現症】身長167cm、体重56kg、体温36.5℃【入院時検査】Alb 4.4g/dl、T.Bil 0.6mg/dl、AST87U/l、ALT75U/l、LDH222U/l、ALP437U/l、γGTP1733U/l、HbA1c8.0%、CRP0.1mg/dl、WBC6410/μl、Hb14.6g/dl、Plt12.9×104/μl、 PT 98%、IgG1130mg/dl、HBsAg(-)、 HCV-Ab(-)、抗核抗体(-)、抗ミトコンドリア抗体(-)、AFP5.9ng/ml、PIVKAII 24mAU/ml、CEA4.21ng/ml、CA19-9 63.6U/ml【経過】ダイナミックCT検査では肝両葉に多発する10~20mm大の低造影腫瘤を認め、EOB-MRIではT1で高信号、T2で高信号、肝細胞相で低信号であった。限局性脂肪化を疑ったが、MRI脂肪抑制で抑制されず、腫瘍生検では脂肪滴を認めなかった。肝細胞索は2~3細胞性で異型性を認めず、背景肝は軽度の線維化あるが肝硬変像を認めなかった。以上からNRHと診断した。【考察】NRHは通常結節は小さいため、画像で検出されることはないが時に2cm以上となりHCCとの鑑別が問題となることがある。門脈圧亢進症を続発することがあり、ステロイド、抗がん剤、抗痙攣剤、免疫抑制剤内服例やベーチェット病、PBCの初期にもみられることがある。本症例はアルコール多飲歴、抗痙攣剤の内服歴があったが因果関係は不明であった。
索引用語 NRH, アルコール性