セッション情報 一般演題

タイトル O-69:

27年後に再発したと考えられた大網原発消化管外間質腫瘍の1例

演者 春日井 聡(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野)
共同演者 千葉  俊美(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 鳥谷 洋右(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 松田 望(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 水谷 友美(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 佐藤 邦彦(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 小坂 崇(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 柴田 將(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 安孫子 幸人(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 小穴 修平(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 廣田 茂(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 遠藤 昌樹(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 滝川  康裕(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 鈴木 一幸(岩手医科大学 内科学講座 消化器肝臓内科分野), 増田 友之(岩手医科大学 病理学講座 病理病態学分野)
抄録 【症例】74歳男性【主訴】左季肋部痛【既往歴】47歳大網神経鞘腫手術、60歳から高血圧症のため内服加療【現病歴】平成24年2月頃より左の季肋部痛を自覚。徐々に痛みが増強し、食欲不振および3ヶ月で10kgの体重減少を認めたため、近医受診。上下部消化管内視鏡検査では異常所見を認めなかったが、腹部超音波検査で腹腔内に巨大な腫瘍を認め、精査加療目的に当科紹介入院となった。【血液検査】可溶性IL-2レセプター710U/M、CEA1.0ng/mL,CA19-9 9.6U/mL,PIVKA2 30mAU/mL,AFP5.0NG/ML【腹部CT】上腹部に13cm大の中心が壊死または粘液変性していると思われる巨大な腫瘤を認める。周囲にも大小複数の腫瘤を認める。【PET-CT】肝外側区域から膵頭部上縁周囲まで進展する13cm大の腫瘤を認める。中心壊死のためか辺縁のみ集積が増加している。大網や腸間膜に播種を疑う大小複数の腫瘤を認め、上腹部に集積増加は集中している。膀胱直腸窩に少量腹水を認める。【経過】検査所見より、GISTや平滑筋腫瘍、神経性腫瘍を疑い、腹部超音波下で腫瘍生検を施行。病理組織所見では、c-kitおよびvimentinが強陽性所見を示し消化管外間質腫瘍(Extragastrointestinal stromal tumor:EGIST)と診断した。47歳時に施行した大網神経鞘腫のCTおよび手術標本が残っており、免疫染色を行ったところ同様の結果であり、かつて大網神経鞘腫と診断された腫瘍は、EGISTとあらためて診断された。MIB1陽性細胞は大網腫瘍の標本では陰性であったが、今回の腫瘍生検標本では25positive cells/high powew fieldと上昇していた。CTでは前腹壁直下の下腹部から骨盤にかけて内部が不均一な濃度の15cm大の腫瘤を認めた。以上より大網原発のEGISTの再発と診断。鎮痛剤投与により経口摂取も可能となり、imatinib投与開始。効果判定のPET-CTでは腫瘍の軽度縮小を認め、現在外来通院中である。【考察】EGISTの予後や転移巣に対する治療方針は、いまだ明らかになってないが、外科的治療により長期生存が得られた報告が散見している。今後EGIST症例を集積し、治療方針を明確にする必要があると思われた。
索引用語 Extragastrointestinal stromal tumor, 腹部腫瘍