抄録 |
被災後、当院では平成23年11月より内視鏡検査を再開し、平成24年11月までの上部消化管内視鏡検査にて胃MALTリンパ腫を3例認めた。各症例を治療経過と合わせて報告する。症例1:70歳女性、高血圧にて通院加療中、スクリーニング目的にEGD施行。胃粘膜の萎縮は認めず、前庭部大弯に小発赤と線状びらんの散在を認め、同部より生検しMALTリンパ腫の診断となる。症例2:44歳男性、胃がん検診としてEGDを施行。萎縮性胃炎あり、胃角部小弯の潰瘍の他、胃角部前壁に褪色調の不整陥凹病変あり、同部より生検しMALTリンパ腫の診断となる。症例3:39歳女性、胃がん検診としてEGDを施行。萎縮性胃炎あり、胃内に多発する褪色域あり、3か所より生検しいずれもMALTリンパ腫の診断となる。3例ともHelicobacter pyloriの感染を認めたため、アモキシシリン、クラリスロマイシン、PPIの3剤併用で除菌治療を行った。いずれも除菌後の判定ではピロリ菌は陰性化していた。悪性リンパ腫の発症頻度は人口10万人に10人程度、そのうち胃MALTリンパ腫は約8.5%とされている。人口約2万人の陸前高田市にて3例の胃MALTリンパ腫を経験した。いずれも無症状での内視鏡検査であった。早期発見のため胃がん検診の受診勧奨やスクリーニング目的の内視鏡検査を積極的に施行すべきと考える。 |