セッション情報 シンポジウム「B型肝炎治療の工夫」

タイトル S-09:

当院におけるB型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)治療の長期成績についての検討

演者 宮崎 豊(東北公済病院内科)
共同演者
抄録 【目的】厚生労働省研究班によるB型慢性肝炎の治療ガイドラインによれば、35歳未満の患者への治療はPEG-IFNまたはIFN長期治療が第一選択となっている。今回演者はIFN治療の有効性を明らかにすることを目的として当院においてIFN短期反復治療または長期治療を行なったB型慢性肝炎症例の長期成績について検討した。【対象と方法】1990年5月~2012年6月まで当科でIFN治療を行なったB型慢性肝炎患者84例のうち、その後の経過観察が可能だった52例(男性34例、女性18例)を対象とした。IFN投与法は28回投与を1クールとして1~10クール(平均2.1クール】行ない、その後の経過観察でHBe抗原持続陰性かつALT持続正常となりdrug freeを達成できた症例を著効とした。また7例については16週以上の長期投与を行なった。【結果】男性34例中著効例は10例(35歳未満:7/18、35歳以上:3/16)であり、女性18例中著効例は10例(35歳未満:6/10、35歳以上:4/8)だった。IFN長期投与を行なった7例では1例のみ著効が得られた。また非著効例32例の中から5例に肝細胞癌の発症を認めたが、著効例からの肝細胞癌の発症は認められなかった。なお非著効例32例のうち27例(年齢24~60歳)にその後核酸アナログ製剤の投与を行なった。非著効例の中にはdrug freeとなってから7年以上経過後(7年~18年後)にHBV-DNAとALT値の上昇を認め、ガイドライン上の核酸アナログ製剤投与の適応となった症例が5例みられた。【まとめ】当科でのB型慢性肝炎に対するIFN治療成績の検討では28日間反復投与、長期投与のいずれでも核酸アナログ製剤投与と比べて肝炎のコントロールが困難な症例が多かった。B型慢性肝炎症例の中には20~30歳台で肝硬変に移行する例もあり、コントロール不良例から肝細胞癌が出現しやすい傾向もあることから、ガイドラインにとらわれずに症例によっては35歳未満でも核酸アナログ製剤の使用を検討すべきと思われる。
索引用語 B型慢性肝炎, IFN治療