セッション情報 一般演題

タイトル O-35:

化学放射線療法が奏功した食道類基底細胞癌の1例

演者 中條 恵一郎(仙台厚生病院 消化器内科)
共同演者 三島 利之(仙台厚生病院 消化器内科), 青木 隼人(仙台厚生病院 消化器内科), 二瓶 公佑(仙台厚生病院 消化器内科), 西条 勇哉(仙台厚生病院 消化器内科), 宮下 祐介(仙台厚生病院 消化器内科), 水野 浩志(仙台厚生病院 消化器内科), 濱本 英剛(仙台厚生病院 消化器内科), 奥薗 徹(仙台厚生病院 消化器内科), 高橋 佳之(仙台厚生病院 消化器内科), 羽根田 晃(仙台厚生病院 消化器内科), 佐藤 俊(仙台厚生病院 消化器内科), 高林 広明(仙台厚生病院 消化器内科), 三宅 直人(仙台厚生病院 消化器内科), 松田 知己(仙台厚生病院 消化器内科), 石橋 潤一(仙台厚生病院 消化器内科), 中堀 昌人(仙台厚生病院 消化器内科), 長南 明道(仙台厚生病院 消化器内科)
抄録 症例は83歳男性。2012年4月頃より食後の嘔吐、胸焼けを自覚し、近医での上部消化管内視鏡検査で食道の隆起性病変を指摘され、当科紹介となった。上部消化管内視鏡検査で上切歯列24cmより食道胃接合部直上にかけて左壁中心に3/4周程度の中心に深い陥凹を有する不整隆起性病変を認めた。病変口側端の隆起は、類基底細胞癌に特徴的な多発結節を有していた。生検では、異型上皮細胞が充実性ないし索状の胞巣を形成しつつ増殖しており、好酸性の基底膜類似物質の沈着を認め、類基底細胞癌と診断した。造影CT, PET-CTで明らかな遠隔転移を認めず、外科手術を拒否したため、同年6月より化学放射線療法を放射線療法60Gy+化学療法FP 2クール(5-FU 700mg/m2 day1-4, CDDP 70mg/m2 day1)にて施行した。1クール施行後、腎障害を認めたため、2クール目よりCDDPは中止し、5-FUのみを500mg/m2に減量して施行した。化学放射線療養終了後約2週間目の上部消化管内視鏡検査では病変照射部は潰瘍瘢痕化していたが、病変口側に小びらんが残存しており、生検にてSCCが検出された。しかし化学放射線療法後1ヶ月半、2ヵ月半後の内視鏡像は、一部で潰瘍が残存しているものの大部分は瘢痕としてしかとらえられらず、再生検では腫瘍細胞は検出されていない。また、治療終了2ヶ月目のCTで、縦隔リンパ節転移の所見や遠隔転移を疑わせる所見は認めていない。食道原発の類基底細胞癌は、食道癌取り扱い規約では上皮性悪性腫瘍の一つに分類され、食道癌切除症例の0.068%と稀な疾患である。それゆえ治療法についてはいまだ一定の見解がえられていない。本症例では化学放射線療法が奏功しており、類基底細胞癌に対して扁平上皮癌に準じた化学放射線療法が有効である可能性が示唆された。
索引用語 類基底細胞癌, 食道