セッション情報 一般演題

タイトル O-14:

放射線直腸炎13例の検討

演者 鶴田 伸一(気仙沼市立病院内科)
共同演者 菅田 英明(気仙沼市立病院内科), 星 達也(気仙沼市立病院内科), 小松 正歩(気仙沼市立病院内科), 涌井 祐太(気仙沼市立病院内科), 石橋 信之(気仙沼市立病院内科), 乗田 一明(気仙沼市立病院内科), 笠沼 勇一(気仙沼市立病院内科), 安海 清(気仙沼市立病院内科)
抄録 【はじめに】放射線直腸炎は骨盤内悪性腫瘍に放射線治療を行った後に起こり、血便を主訴とすることが多い。今回、当院で経験した放射線直腸炎13例について臨床的背景および治療法を検討する。【対象】2009年9月~2012年8月の間に当院で血便を主訴に放射線直腸炎と診断した13症例。【結果】平均年齢74.3歳(58~86歳)、男性10例、女性3例。基礎疾患は前立腺癌10例、子宮頸癌2例、子宮体癌1例。照射後平均2年6か月(11か月~9年)。抗血小板薬・抗凝固薬の内服2例、輸血を要したのは5例。内視鏡所見はSherman1a:3例、1b:7例、2:3例。止血処置を要したのは6例で、方法はアルゴンプラズマ凝固療法(以下APC)5例、APC+ソフト凝固1例だった。APC+ソフト凝固の症例は良好な止血が得られるまでに9回内視鏡治療を施行しており、APCのみで止血困難であったため、数回ソフト凝固を併用し、ベタメタゾン座薬にサラゾスルファピリジン座薬も併用して良好な止血が得られた。止血処置を行った6例全てと止血処置を行わなかった7例のうち3例は座薬を使用し、止血処置や座薬などの治療を行わなかったのは4例でいずれも経過観察のみで経過良好であった。再出血は10例であった。【考察】当院における放射線直腸炎は骨盤内悪性腫瘍に対する放射線治療後の血便を主訴とする患者が多く、典型例であったと言える。内視鏡治療を必要とする症例では第一選択としてAPCを施行し、6例中5例は1~3回の処置で良好な止血が得られた。治療に難渋した1例では、APC、ソフト凝固、座薬を併用して良好な止血が得られたが、本人の自覚症状や血便回数などからサラゾスルファピリジンを投与後に改善を認めた印象であった。良好な止血が得られた症例でも高頻度に再出血を呈していることから、注意深い経過観察が重要であると思われた。
索引用語 放射線直腸炎, APC