セッション情報 |
シンポジウム「B型肝炎治療の工夫」
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タイトル |
S-04:HBV genotypeからみたB型慢性肝疾患に対する核酸アナログ治療反応性とウイルス抗原量スコア化による中止可能例の予測
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演者 |
佐藤 智佳子(山形大学 医学部 消化器内科) |
共同演者 |
渡辺 久剛(山形大学 医学部 消化器内科), 上野 義之(山形大学 医学部 消化器内科) |
抄録 |
【目的】B型慢性肝疾患に対する抗ウイルス治療は核酸アナログ製剤(NA)が主流であるが、ペグインターフェロンの保険適用に伴い、今後NA治療患者からの切り替え例が増えてくるものと予想される。NA中止の指標にHBsAgとHBコア関連抗原(HBcrAg)量の測定が有用とされていることから、HBV genotype(GT)に着目し、NA長期内服の治療効果とウイルス抗原量スコア化に基づいた中止可能例について検討した。【対象】NAを2年以上長期投与したB型慢性肝疾患例でgenotypeが判明している59例である。開始時および開始2年後のALT値、HBV DNA、HBsAg、HBcrAg量を測定し、治療反応性とNA中止に伴うリスク回避のための指針に基づいたスコア化の検討を行った。【成績】GT-Bは28例(NA開始時平均56.5歳、M/F=22/6)、 GT-Cは31例(平均51.2歳、M/F=20/11)、NA開始時のALT中央値はGT-Bで66 IU、GT-Cで55 IUであり、HBe抗体陽性例はGT-B 27例(96%)、GT-C 24例(77%)であった。GT-C例ではHBV DNA 7 log以上(14例(48%) vs 5例(19%))、HBcrAg量4 LogU以上(27例(93%) vs17例(65%))の例が有意に多かった。NAの種類はGTにより差はなかったが、平均投与期間はGT-B に比べGT-Cで有意に長かった(51.9か月 vs 74.1か月;p < 0.01)。ALT正常化率はGT-B 20/28 (71%)、GT-C 22/31 (70%)、HBV DNA陰性化率はGT-B 17/26 (65%)、GT-C 20/28 (71%)であったが、HBcrAg陰性化率はGT-B 5/10 (50%)、GT-C 3/14 (21%)とGT-B例で陰性化率が高かった。HBsAg消失例はGT-Cで1例(57才女性)認め、HBe抗体陽性の慢性肝炎(A2/F1)例で、開始から2年でHBsAgが消失した。ウイルス抗原量スコア化による低再燃リスクを満たす例はGT-Bで92%、GT-Cで29%(p < 0.05)であった。【結論】NA投与期間はGT-C例で長期であったが、HBcrAg陰性化率はGT-Bで高く、NA治療反応性はGT-Bで良好であった。またGT-B例ではスコアリングによる再燃リスクの低い例が多く、NA中止あるいはHBsAg消失を目指したペグインターフェロン治療への切り替えが可能と思われた。 |
索引用語 |
HBV genotype, スコアリング |