セッション情報 一般演題

タイトル O-17:

大腸鋸歯状病変における臨床病理学的検討

演者 田中 義人(秋田赤十字病院 消化器病センター)
共同演者 山野 泰穂(秋田赤十字病院 消化器病センター), 木村 友昭(秋田赤十字病院 消化器病センター), 吉川 健二郎(秋田赤十字病院 消化器病センター), 高木 亮(秋田赤十字病院 消化器病センター), 中岡 宙子(秋田赤十字病院 消化器病センター), 宮島 正行(秋田赤十字病院 消化器病センター), 佐藤 健太郎(秋田赤十字病院 消化器病センター), 今井 靖(秋田赤十字病院 消化器病センター), 菅井 有(岩手医科大学 医学部 病理学講座 分子診断病理学分野), 山本 英一郎(札幌医科大学 医学部 分子生物学講座), 原田 拓(札幌医科大学 医学部 分子生物学講座), 鈴木 拓(札幌医科大学 医学部 分子生物学講座)
抄録 【目的】SSA/P,TSAの臨床病理学的,遺伝子学的特徴を明らかにする.【対象・方法】当センターにて内視鏡的に切除され,術後の病理診断でSSA/P,TSAと診断された85病変を対象.その臨床病理学的特徴と遺伝子解析結果を比較検討した.【結果】病変の内訳はSSA/P群57病変(SSA/P,SSA/P with cytological dysplasia,cancer in SSA/P),TSA群25病変(TSA,cancer in TSA)、SSA/P+TSA 3病変であった.SSA/P群,TSA群の平均年齢は同等で性比はTSA群でやや男性に多い傾向を示した.病変の局在はSSA/P群は右側,TSA群は左側に多い傾向を示した.平均腫瘍径はともに同等で,肉眼形態はSSA/P群では表面平坦隆起型,TSA群では隆起型が多く,拡大内視鏡所見ではSSA/P群では開II型 pit,TSA群では鋸IV型 pitが多く認められた.K-ras変異(+),BRAF変異(+)はSSA/P群では5%,86%,TSA群では20%,52%であった.担癌率はSSA/P群では7病変(12%),TSA群では1病変(4%)であった.SSA/Pの癌合併例は非合併例に比べ高齢女性に多く,平均腫瘍径は同等,隆起傾向を示し,癌部のpit patternは5病変でVI型 pit,2病変で鋸IV型pitであった.また遺伝子解析を行った全例でBRAF変異(+),CIMP(+)が確認され,癌部はMSI(+)であった.TSAの癌合併例は1病変のみであったが,非合併例に比べると高齢で腫瘍径はやや大きく,肉眼形態は表面平坦隆起型,癌部のpit patternは鋸IV型pitであった.遺伝子解析では癌部・非癌部ともBRAF変異(-),K-ras変異(-),非癌部でCIMP(+)であった.【考察】SSA/PとTSAは形態,部位において対称的な傾向を示し, また開II型pitはSSA/Pに,鋸IV型pitはTSAに特徴的なpit patternと考えられ,両者の鑑別に有用と考えられた.SSA/Pの悪性化においては腫瘍径よりも隆起傾向や病変内でのpit の相異が重要と考えられた.SSA/PとTSAは一部でオーバーラップする病変なども含まれ,鋸歯状病変の発育進展を考える上で更なる症例の蓄積を通した検討が望まれた.【結語】SSA/P群とTSA群,また各群の癌合併例と非合併例の臨床病理学的,遺伝子学的特徴を比較検討し報告した.
索引用語 SSA/P, TSA