セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
O-18:cap polyposisの1例
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演者 |
入江 大樹(公立藤田総合病院 消化器科 初期研修医) |
共同演者 |
木暮 敦子(公立藤田総合病院 消化器科 初期研修医), 坂 充(公立藤田総合病院 消化器科 初期研修医), 大島 康嘉(公立藤田総合病院 消化器科 初期研修医), 近藤 祐一郎(公立藤田総合病院 消化器科 初期研修医) |
抄録 |
症例は61歳の男性。数年前、腹痛のため近医よりトリメブチンマレイン酸とラモセトロンの処方を受けた既往がある。平成24年2月、心窩部痛と下痢、嘔吐を主訴に当院救急外来で受診し、精査加療目的に入院した。絶食と補液で症状は改善傾向を示したが3~4回/日の下痢と血便は持続した。血液生化学検査で総タンパクが5.6 g/dlでCRPが1.17 mg/dlであった。上部消化管内視鏡検査と腹部CTおよび超音波検査の所見は有意ではなかった。下部消化管内視鏡検査でS状結腸に多発する膿性粘液に覆われた発赤調のたこいぼびらん様の丈の低い隆起性病変や半月ヒダに沿ってそれらが癒合した様な隆起性病変を認めた。同部の生検組織で粘膜表層性の慢性活動性炎症細胞浸潤と陰窩の延長を認め、肉芽組織が病巣表面をcap状に覆っていた。注腸造影検査でもS状結腸に丈の低い多発隆起性病変を認めた。これらの所見よりcap polyposisと診断され5-ASA製剤と止痢剤を投与されたが寛解が得られなかった。尿素呼気試験でH.pylori(HP)感染を確認されたため除菌療法を施行され、経過観察中である。cap polyposisは直腸やS状結腸に炎症性隆起性病変が多発する稀な疾患であり、病因は未だ明らかではなく、治療法も確立していない。慢性的な機械的刺激やHP感染による炎症性サイトカインの関与が示唆されており5-ASAやステロイド薬やHP除菌による治療等が行われている。若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 |
cap polyposis, Helicobacter pylori |