セッション情報 一般演題

タイトル O-45:

内視鏡的ドレナージを施行した残胃癌による輸入脚症候群の1例

演者 山内 洋一(青森市民病院 消化器内科)
共同演者 川口 章吾(青森市民病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 千葉 裕樹(青森市民病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 吉村 徹郎(青森市民病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 和田 豊人(青森市民病院 消化器内科), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
抄録 【背景】急性型の輸入脚症候群は輸入脚腸管や吻合部の完全閉塞が原因で発症し、上腹部痛や無胆汁性嘔吐を認め、急激に病態が進行する。死亡率10-30%と報告されており、早急な診断、治療が必要である。【症例】74歳、男性。主訴は腹痛、嘔吐。48歳時に胃癌のため幽門側胃切除術、Billroth II法再建が施行されている。2週間前から腹痛が出現し、通院中の病院で補液を受けていた。頻回の嘔吐も出現したため、精査加療目的に当科紹介となった。血液データでは肝胆道系酵素とアミラーゼの上昇を認めた。腹部CTでは輸入脚が著明に拡張していた。当科入院となり、同日上部消化管内視鏡検査を施行。残胃の吻合部近傍に易出血性の不整な潰瘍性病変を認めた。残胃癌による輸入脚症候群と診断し、ENBDチューブを留置した。ドレナージが奏功し、臨床症状、血液データともに改善した。腫瘍からの生検で低分化型腺癌の診断に至った。術前検査として施行した大腸内視鏡で横行結腸への腫瘍の浸潤も認められた。当院外科転科となり開腹手術が施行されたが、腫瘍の浸潤が広範であったことから残胃の切除は断念し、回腸-S状結腸バイパス術、ブラウン吻合が施行された。術後の経過中に敗血症を併発し、永眠された。【結語】今回われわれは、幽門側胃切除術26年後の残胃癌による輸入脚症候群の1例を経験した。内視鏡的ドレナージが奏功し、緊急手術を回避することができた。
索引用語 輸入脚症候群, 内視鏡的ドレナージ