セッション情報 一般演題

タイトル O-48:

特徴的な造影CT検査所見が診断につながったFitz-Hugh-Curtis症候群の一例

演者 梶原 祐策(医療法人芙蓉会村上病院 消化器内科)
共同演者 水木 一郎(医療法人芙蓉会村上病院 消化器内科)
抄録 【症例】25歳女性
【主訴】下腹部痛
【現病歴】2012年12月27日に性器出血及び下腹部痛を主訴に近医の産婦人科を受診された。経膣超音波検査では子宮や卵巣には異常がなかったが、骨盤内に腹水の貯留が認められた。ピルが処方されたところ、出血は無くなり下腹部痛も軽減したが、腹水は増加した。内科的疾患の有無についての精査依頼があり、2013年1月17日に当科を初診となった。
【既往歴・社会生活歴・家族歴】特記すべきことなし
【臨床経過】当科初診時に症状はなかったが、血液検査でWBC 10400/μl(Neutro 78.5%)、CRP 1.2mg/dlと炎症反応が軽度上昇し、赤沈は1時間値 31mm / 2時間値 72mmと亢進していた。また、ALT 34IU/l、γ-GTP 62IU/lと軽度の肝障害も認められた。腹部超音波検査では骨盤内に腹水が少量みられるのみで、上部消化管内視鏡検査では異常所見は認められなかった。そこで腹部造影CT検査を行ったところ、骨盤内炎症性疾患(PID)に矛盾しない所見が認められた他、造影早期に肝辺縁で淡い濃染がみられたことからFitz-Hugh-Curtis症候群(FHCS)と考えられた。原因菌としてChlamydia trachomatis(ChT)を念頭に置き、直ちにクラリスロマイシンの内服を開始した。後日前医で行われた子宮頚管分泌物のChT抗原PCR検査の結果が陽性と判明し、その他の性感染症検査が全て陰性であったことや当科で施行した下部消化管内視鏡検査で異常所見が認められなかったことから、ChTによるFHCSと総合的に診断した。
【結語】若年女性の腹痛の原因としてFHCSは重要な疾患である。本症例のように造影CT検査によって診断につながる貴重な情報が得られることがあるので、禁忌ではない限り施行すべきであると考えられる。
索引用語 Fitz-Hugh-Curtis症候群, Chlamydia trachomatis