セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル O-35:

小腸内視鏡で診断し得た食餌性イレウスの一例

演者 佐竹 立(弘前大学 大学院医学研究科 消化器血液内科学)
共同演者 八森 久(むつ総合病院 内科), 佐竹 美和(弘前大学 大学院医学研究科 消化器血液内科学), 太田 理恵(弘前大学 大学院医学研究科 消化器血液内科学), 佐藤 諭(弘前大学 大学院医学研究科 消化器血液内科学), 山居 聖典(弘前大学 大学院医学研究科 消化器血液内科学), 珍田 大輔(弘前大学 大学院医学研究科 消化器血液内科学), 岡本 豊(むつ総合病院 内科), 相馬 悌(むつ総合病院 内科), 松浦 修(むつ総合病院 外科), 山田 恭吾(むつ総合病院 外科), 橋爪 正(むつ総合病院 外科), 齊藤 傑(弘前大学 大学院医学研究科 消化器外科学), 中山 義人(弘前大学 大学院医学研究科 消化器外科学), 福田 眞作(弘前大学 大学院医学研究科 消化器血液内科学)
抄録 <症例>63歳女性<主訴>嘔吐<既往歴>精神発達遅滞により独歩困難で全ての活動に介助が必要。<現病歴>平成23年11月15日昼食後に多量に嘔吐。その後、嘔吐が頻回となり食事摂取困難となったため11月18日に当科受診。腹部CTでは小腸に長径30mm大の丸みを帯びた高吸収構造物が陥頓しその口側が拡張しており、異物によるイレウスの診断となり同日精査・加療目的に当科入院となった。<初診時現症>BT:37.8℃、BP128/78mmHg腹部所見 :平坦、軟。金属音聴取し臍周囲に圧痛認める。<血液検査>WBC8000/μl、Hb12.1g/dl、Plt38万/μl、BUN58.5mg/dl、Cre1.31mg/dl、CRP3.65mg/dlと炎症反応および腎機能障害を認める。その他肝障害等は認めなかった。<経過>同日経鼻的にイレウスチューブ挿入し、絶食・補液にて加療したが異物の移動を認めず、11月28日経口的に小腸内視鏡を施行。空腸内に栗の実が嵌頓し、周辺の腸管は浮腫状で嵌頓部には全周性に潰瘍が認められた。ネットでの回収や破砕を試みたが栗の表面が滑り内視鏡的治療は困難であったため11月30日に開腹手術を施行。腸管狭窄は認められなかったため腸管の切除は行わず、異物直上の腸管壁に約2cm切開し用手的に除去した。異物は長径約30mmの栗の実であった。術後経過良好で12月14日退院となった。<考察>放射線的検査での異物によるイレウスの診断能には限界があり、食餌性イレウスの術前診断率は低いが本症例では小腸内視鏡にて確定診断することができ早期に外科的治療へつなげることができた。食餌が原因であるイレウスの報告は少なく、極めて稀な症例と考えられたため、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 食餌性イレウス, 術前診断