セッション情報 シンポジウム 「胃癌2013 -検診・診断・治療のup to date-」

タイトル S-01:

山形市における胃癌検診でのABC分類-A群の実態も含めて-

演者 吉澤 和哉(山形大学 医学部 内科学第二(消化器内科学)講座)
共同演者 阿部 靖彦(山形大学 医学部 内科学第二(消化器内科学)講座), 佐々木 悠(山形大学 医学部 内科学第二(消化器内科学)講座), 作田 和裕(山形大学 医学部 内科学第二(消化器内科学)講座), 渋谷 りか(山形大学 医学部 内科学第二(消化器内科学)講座), 八木 周(山形大学 医学部 内科学第二(消化器内科学)講座), 岩野 大輔(山形大学 医学部 内科学第二(消化器内科学)講座), 佐藤 剛司(山形大学 医学部 内科学第二(消化器内科学)講座), 野村 栄樹(山形大学 医学部 内科学第二(消化器内科学)講座), 西瀬 祥一(山形大学 医学部 内科学第二(消化器内科学)講座), 成松 宏人(山形大学大学院 医学系研究科 公衆衛生学講座), 深尾 彰(山形大学大学院 医学系研究科 公衆衛生学講座), 大泉 晴史(山形市医師会健診センターDELIMITER大泉内科胃腸科クリニック), 上野 義之(山形大学 医学部 内科学第二(消化器内科学)講座)
抄録 【目的】[1]胃癌リスクに対してABC分類の有用性が報告されており、山形市の一般住民検診で行ったABC分類について検討した。[2]H.pylori(Hp)既往感染者のA群への誤分類の増加が危惧されており、A群の胃X線所見とHp抗体・ペプシノゲン(PG)を検討した。
【方法】[1]2010年6月~2011年12月に胃X線検診とABC分類を行った連続3721名(39~74歳,平均62.7歳,男性1587名)を対象とした。既報に従いA,B,C,D群に分類し、問診で除菌既往のある場合をE群とした。HpまたはPG陽性者及び胃X線検診での要精査群に対し内視鏡検査を勧奨した。[2]採血結果を伏せて胃X線検査の胃小区の形態(平滑、多角形・顆粒状の2つに分類)と、胃体部皺襞の分布範囲(背臥位正面像で胃体部を4分割し皺襞が存在する領域数を0~2領域、3~4領域の2つに分類)を読影した。A群で、平滑な胃小区かつ皺襞分布が3~4領域である場合を真A群、多角形・顆粒状胃小区かつ皺襞分布が0~2領域である場合を偽A群と定義し、血清マーカーを検討した。なお、本研究は文部科学省GCOEプログラム"分子疫学の国際教育研究ネットワークの構築"により行った。
【結果】[1]A群1463名(39.3%)、B群610名(16.4%)、C群1156名(31.1%)、D群291名(7.8%)、E群201名(5.4%)であった。B群4例(0.7%)、C群13例(1.1%)、D群3例(1.0%)の計20例(非A群の0.9%)の胃癌が発見され、A,E群では胃癌は発見されなかった。 [2]真A群は918例(62.7%)、偽A群は314例(21.5%)で、それ以外の231例(15.8%)は検討から除外した。Hp抗体価3U/ml未満の例は真A群では809例(88.1%)で、偽A群では128例(40.8%)であった(p<0.001)。平均PGI値(ng/ml)は真A群51.0、偽A群50.3と有意差はなかった。平均PGII値(ng/ml)は偽A群13.2が真A群11.1より有意に高く、平均PGI/II比は真A群4.6が偽A群4.1より有意に高値を示した(p<0.001)。
【結語】山形市でもABC分類は胃癌検診において有用な事が示唆された。また、A群でもX線像からは萎縮性胃炎が疑われる例が4割存在し、一度は画像検査を行うべきと考えられた。さらにA群の中で血清マーカーを見直すことで偽A群を識別できる可能性が考えられた。
索引用語 胃がん検診, ABC分類