セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル W-14:

先天性胆嚢欠損症と考えられた一卵性双生児姉妹

演者 星 恒輝(福島県立医科大学 会津医療センター 消化器内科学講座)
共同演者 澁川 悟郎(福島県立医科大学 会津医療センター 消化器内科学講座), 阿部 洋子(福島県立医科大学 会津医療センター 消化器内科学講座), 二階堂 暁子(福島県立医科大学 会津医療センター 消化器内科学講座), 忌部 航(福島県立医科大学 会津医療センター 消化器内科学講座), 山部 茜子(福島県立医科大学 会津医療センター 消化器内科学講座), 入澤 篤志(福島県立医科大学 会津医療センター 消化器内科学講座)
抄録 (はじめに)先天性胆嚢欠損症は比較的まれな胆道奇形である。本症は発生学的な異常に基づくとされているが、遺伝的素因の関与に関しては欧米で数家系の報告があるのみで、明らかにはされていない。今回、一卵性双生児双方に先天性胆嚢欠損症がみられた症例を経験したため、文献的考察を加え報告する。(症例)20歳代女性。一卵性双生児の妹が2012年2月に上腹部痛を主訴に当科外来で受診した。血液検査では特に異常はなかったが、腹部超音波検査(US)では胆嚢の同定ができなかった。腹部CT・MRCP・EUSでも同様の結果であり、先天性胆嚢欠損症が考えられた。確定診断には直接胆道造影や胆嚢動脈欠損の確認が必要であるが、その後は症状の再燃もなく、また若年女性であることも考慮し、血管造影やERCP等の侵襲的検査は施行を見合わせた。患者が一卵性双生児であったため姉にも諸検査を受けるように勧めた。姉には腹痛のエピソードはなかったが、腹部USとMRCPでは妹と同様に胆嚢の欠損を認めた。なお、父と母には腹部USで胆嚢は同定された。先天性胆嚢欠損症には他の胆道系奇形が合併することも報告されているが、本症例では明らかでなかった。現時点では姉妹共に総胆管結石は認められていないが、本症での結石形成の危険性を考慮し、今後も慎重に経過観察することとしている。(結語)今回われわれは、一卵性双生児で共に先天的胆嚢欠損を認めた症例を経験した。父母には胆嚢欠損は認めなかったが、一卵性双生児双方に本症が見られたことから、本症の遺伝的素因の可能性を示唆する貴重な症例と思われる。
索引用語 先天性胆嚢欠損症, 一卵性双生児