セッション情報 シンポジウム 「胃癌2013 -検診・診断・治療のup to date-」

タイトル S-12:

当院で経験した胃リンパ球浸潤癌の臨床的,病理学的検討

演者 大方 英樹(岩手県立中央病院 消化器科)
共同演者 池端 敦(岩手県立中央病院 消化器科), 阿部 康弘(岩手県立中央病院 消化器科), 横山 直信(岩手県立中央病院 消化器科), 松本 信(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院 消化器科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院 消化器科), 小原 範之(岩手県立中央病院 消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院 消化器科), 小野 貞英(岩手県立中央病院 病理診断科)
抄録 【背景】胃リンパ球浸潤癌(GCLS)は癌巣周囲に著明なリンパ球浸潤を伴う予後良好な腺癌であり,胃癌全体の約1~4%を占める特殊型胃癌である.また,EBV陽性が70-90%と高率でありEBウィルス関連胃癌としても注目されている.【目的】GCLSの臨床的特徴および病理組織像を明らかにすることを目的とした.【方法】過去12年間に当院で経験したGCLS12例を対象とし,臨床症状,内視鏡所見,予後,病理所見などについて検討した.【結果】期間中の胃癌切除症例は1516例でありGCLSは0.79%を占めた.年齢は中央値65歳(46-85),男性7例女性5例であった.検診発見癌は6例(50%),有症状受診は4例,その他2例であった. 内視鏡所見はIIa+IIc5例,IIc2例, 1型1例,2型2例,SMT2例であった.8例では表面が発赤調を呈した.複数回の生検施行は3例であった.EUSは診断に難渋した3例に施行され,第3層に濾胞構造様の低エコー所見は2例で観察された.部位別ではU4例,M6例,L2例であった.腫瘍長径は中央値31mm (14-81)であった.治療は手術11例,ESD後追加手術が1例であった.他の癌合併は3例で肺癌1,膀胱癌1,異時性胃癌1であり,いずれもGCLS発見以前に手術が施行されていた.術後観察期間は中央値7年(4月‐10年3月)で10例が生存,2例が死亡,5年生存率は91.7%であった.組織型はpor1: 11例,tub1: 1例であり,粘膜表層と浸潤部で組織型が異なるのは10例にみられ粘膜表層tub1-2: 9例,por1: 3例であった.深達度はsm2 11例,se 1例であった.脈管侵襲は7例にみられ,リンパ節転移は1例のみにみられた.病期別ではStage IA 10例,IB 1例,II 1例であった.【結語】GCLSの癌浸潤部は低分化型であるが粘膜表層部は分化型が混在することが多かった.癌表層部は強い発赤調を呈することが多く,EUSでの第3層の濾胞構造様の低エコー所見は診断に有用であった.粘膜下層に留まることが多く予後は良好である.
索引用語 胃リンパ球浸潤癌, sm浸潤