セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル O-01:

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が施行された表在型食道癌と多発早期胃癌を含めた4重複癌の一例

演者 阿部 康弘(岩手県立中央病院 消化器科)
共同演者 池端 敦(岩手県立中央病院 消化器科), 大方 英樹(岩手県立中央病院 消化器科), 吉田 直記(岩手県立中央病院 消化器科), 植田 南(岩手県立中央病院 消化器科), 熊田 早希子(岩手県立中央病院 消化器科), 小原 範之(岩手県立中央病院 消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院 消化器科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院 消化器科), 横山 直信(岩手県立中央病院 消化器科), 松本 信(岩手県立中央病院 消化器科), 小野 貞英(岩手県立中央病院 病理診断科), 村上 晶彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 天野 良彦(岩手県立中央病院 内視鏡科)
抄録 高齢化や医療技術の進歩により重複癌症例は増加しているが,4重複癌はいまだ極めて稀である.今回,表在型食道癌と多発早期胃癌に対してESDが施行された4重複癌の一例を経験したので報告する.【症例】70歳代,男性.主訴:なし(ESD目的).家族歴:弟が胃癌,他の弟が胆管癌.既往歴:27年前,くも膜下出血.5年前,上顎癌(扁平上皮癌)にて放射線化学療法をうけた.2年前,他院で盲腸癌(腺癌)にて切除術をうけた.現病歴:上顎癌の診断時に内視鏡検査で胃角にIIa様病変がみられ生検でgroup3であったが経過観察となっていた.その後他院で大腸癌の切除術をうけ,術後の定期的内視鏡検査にて胃体部にIIc病変を指摘され生検でgroup5であり治療目的に紹介となった.上部内視鏡検査では体上部後壁にIIc病変,IIa様病変,胃角小彎にIIa病変がみられた.生検ではそれぞれgroup2, 2, 3であった.同時に下部食道にIIc病変がみられた.拡大観察ではIPCL分類IV,一部にV1を疑う病変であり,生検では高分化扁平上皮癌であった.CTではリンパ節腫大や上顎癌の再発はみられなかった.食道,多発胃病変はいずれも内視鏡治療の適応と判断し3期的にESDが施行された.最終病理診断は,食道;扁平上皮癌0-IIb+IIa, 10X7mm, pT1a-EP, ly0, v0, HM0, VM0,胃体上部;0-IIc, 8X5mm, tub1, m, ly0, v0, LM0, VM0,胃体上部;0-IIc, 6X4mm, tub1, m, ly0, v0, LM0, VM0,胃角:0-IIa, 14X8mm, tub1, m, ly0, v0, HM0, VM0であった.現在,外来で経過観察中である.【考察】食道癌との重複癌は胃癌,頭頚部癌が約半数を占めるが,進行癌で発見されることが多い.両者とも内視鏡的切除で治療された報告例は少数である.また,重複癌の発生因子のひとつに医原性因子があるが,本例では放射線化学療法の既往があり,その可能性は否定できないと考えられる.消化管,頭頚部の癌では,重複癌の可能性を念頭に置き,早期発見,早期治療を目指すことが重要と考えられた.【結語】4重複癌(表在型食道癌,多発早期胃癌,盲腸癌,上顎癌)の一例を経験した.
索引用語 4重複癌, 内視鏡的粘膜下層剥離術