セッション情報 | 特別企画 初期研修医(卒後2年迄) |
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タイトル | W-10:間質性肺炎,仙腸関節炎,肛門周囲膿瘍を合併した潰瘍性大腸炎の一例 |
演者 | 小玉 祐(岩手県立中央病院 消化器科) |
共同演者 | 池端 敦(岩手県立中央病院 消化器科), 大方 英樹(岩手県立中央病院 消化器科), 阿部 康弘(岩手県立中央病院 消化器科), 植田 南(岩手県立中央病院 消化器科), 熊田 早希子(岩手県立中央病院 消化器科), 吉田 直記(岩手県立中央病院 消化器科), 小原 範之(岩手県立中央病院 消化器科), 城戸 治(岩手県立中央病院 消化器科), 高橋 太郎(岩手県立中央病院 消化器科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院 消化器科), 松本 信(岩手県立中央病院 消化器科), 横山 直信(岩手県立中央病院 消化器科), 小野 貞英(岩手県立中央病院 病理診断科), 村上 晶彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 天野 良彦(岩手県立中央病院 内視鏡科) |
抄録 | 【症例】40歳代,男性.主訴:咳,発熱.家族歴・既往歴:特になし.現病歴:8年前に全大腸炎型の潰瘍性大腸炎と診断された.4年前の再燃時に当科紹介となった.発症時より5アミノサリチル酸(5ASA)を服用し,ステロイド依存のため3年前よりアザチオプリンを服用していた.また,2年前よりインフリキシマブ(IFX)が継続投与されていた.最終投与の6週後より咳,38度台の発熱が出現し入院となった.血便は4-5行/日みられた.血液検査では貧血,低蛋白血症,CRP15.9mg/dlと炎症反応がみられた.CMV抗原は陰性,KL-6は正常であった.結核菌は塗抹鏡顕,培養ともに陰性,血液培養は陰性であった.大腸内視鏡検査では直腸,S状結腸で炎症所見が強く深掘れ潰瘍がみられた.CTでは両側肺尖部にスリガラス陰影,右肺底部の胸膜下に浸潤影,門脈周囲に低吸収帯,結腸のびまん性壁肥厚がみられた.間質性肺炎の合併と診断され,ステロイドパルス療法が施行された.咳,発熱はすぐに改善し,2週後のCTではスリガラス陰影は軽快した.IFXは中止としタクロリムスを開始したが,血便回数の減少がみられた. 4週後のCTでは肛門周囲膿瘍が出現したため,タクロリムスを中止しステロイドを再開した.右股関節痛にて歩行不能となり再入院となったが,6週後のCTでは右腸骨,仙腸関節の硬化性変化が出現した.また,内視鏡所見は増悪し炎症の口側進展がみられた.ステロイドの漸減により発熱,血便,足関節腫脹を繰り返すため, 4ヵ月後結腸全摘,回腸嚢肛門管吻合術が施行された.切除標本では直腸から上行結腸にかけて潰瘍,びらんがみられた.組織学的には粘膜および粘膜下層で高度の炎症細胞浸潤や陰窩膿瘍がみられたが悪性像はみられなかった.【考察】潰瘍性大腸炎は経過中に様々な腸管外合併症をきたし,頻度は少ないが間質性肺炎の報告がみられる.また,薬剤性間質性肺炎の報告もみられる.本例では複数の関節炎,肛門周囲膿瘍の合併もあり腸管外合併症の可能性が考慮される.【結語】間質性肺炎,仙腸関節炎,肛門周囲膿瘍を合併した潰瘍性大腸炎の一例を経験した. |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, 間質性肺炎 |