セッション情報 一般演題

タイトル O-16:

Panitumumab併用mFOLFOX6療法によって切除可能となった大腸癌術後多発肝転移の肝切除標本より病理学的完全寛解を認めた1例

演者 飯野 勢(弘前市立病院内科)
共同演者 佐竹 美和(弘前市立病院内科), 相原 智之(弘前市立病院内科), 田中 光(弘前市立病院内科), 山形 亮(弘前市立病院内科), 坂本 十一(弘前市立病院内科), 田中 正則(弘前市立病院臨床検査科), 中畑 久(弘前市立病院内科), 東野 博(弘前市立病院内科)
抄録 【症例】66歳男性【主訴】血便、腹満【既往歴】特記事項なし【家族歴】特記事項なし【現病歴】2012年2月頃より血便を自覚。7月初旬からの腹満のため当院紹介となった。【原発巣切除前経過】大腸内視鏡検査でS状結腸に全周性の腫瘍性病変を認め、生検によりS状結腸癌の診断となった。CTで肝転移巣はS4、S6を中心に多発していた。2012年8月に原発巣切除のためにS状結腸切除術を施行した。【原発巣病理組織学所見】tub2 >tub1 >muc, ss, INF b, ly0, v3, n0, P0, H2, k-ras変異なし【原発巣切除後経過】9月よりPanitumumab+mFOLFOX6で化学療法を開始した。8コース施行後の12月のCTで、腫瘍縮小率はS4、S6病変で44%、39%であり、partial responseを認め、肝切除可能と判断した。治療期間中の副作用はざ瘡様皮疹、爪周囲炎を認めたがいづれもGrade1であった。化学療法を2コース追加し、計10コース後、平成25年2月に肝部分切除を施行した。術中にソナゾイドを用いた術中造影超音波検査を施行し、S4の病変は描出されず、S6病変はまだらに造影された。それ以外に転移性腫瘍は認めなかった。【肝切除術後病理組織学所見】Grade:3。S4、S6共に腫瘍全体がnecrosisで、vividな腫瘍細胞は認めなかった。【肝切除後経過】術後11日後に退院。その後外来にて化学療法継続。再発なく経過中である。【考察】Panitumumab併用化学療法により切除不能大腸癌において切除可能となり、再発なく経過している報告は散見する。しかし、切除後の組織標本でGrade3を認めた報告は医学中央雑誌による過去の報告では、本症例を含め2例のみであった。今後、Panitumumab併用化学療法の使用例の増加に伴い根治例も増加してくると考えられる。【結語】本症例は切除不能大腸癌がPanitumumab併用化学療法によって根治の可能性を示唆した貴重な症例と考えられた。
索引用語 Panitumumab, 大腸癌肝転移