セッション情報 一般演題

タイトル O-19:

大腸腺腫患者の内視鏡的切除後の長期経過

演者 木村  聖路(国民健康保険三戸中央病院 内科)
共同演者 濱舘 貴徳(弘前大学消化器血液内科), 田中 正則(弘前市立病院臨床検査科), 福田 真作(弘前大学消化器血液内科)
抄録 【目的】最近は大腸腫瘍の内視鏡治療後のサーベイランスも重視される。大腸腫瘍の内視鏡治療後の長期経過において再度治療を要する腺腫またはindex lesion (10mm以上、高異型度腺腫、癌)が発生するための危険因子を検討した。【方法】内視鏡切除した腺腫または粘膜内癌患者で治療後1年以上の間隔を空け経過観察した403例を、初回治療後観察のみの単回切除群(A群)225例と再治療を要した複数回切除群(B群)178例に分類した。B群を更にindex lesion 以外の治療群(C群)109例とindex lesion治療群(D群)69例に分類し年齢性別、観察期間、初回の切除個数、最大サイズ、病変部位、肉眼形態、組織所見について比較検討した。なお内視鏡治療はsemi-clean colonの概念で、5mm未満の腺腫は経過観察とした。【成績】A群66.7歳、1.06:1、B群65.6歳、2.70:1、C群65.4歳、2.53:1、D群65.9歳、2.95:1で、B群はA群より男性比が高く(p<0.001)、C群とD群はほぼ同率。期間はA群68.4月、B群80.5月、C群76.9月、D群85.8月で、B群はA群より長く(p<0.05)、C、D群間は有意差なし。個数はA群1.38個、B群1.94個、C群1.95個、D群1.93個で、A群よりB群が多く(p<0.0001)、C群とD群は有意差なし。サイズはA群8.46mm、B群9.41mm、C群9.18mm、D群9.61mmで、A群よりB群が大きく(p<0.05)、C群とD群は有意差なし。部位はA群、B群で左側58.2%、48.9%、右側28.9%、23.6%、両側12.9%、27.5%で、B群が有意に右側移動した(p<0.005)。C、D群間に有意差なし。形態はA群、B群で1s,1sp型65.5%、58.1%、1p型19.8%、30.3%、LST型8.5%、7.1%、2a,2c型6.2%、4.5%で、B群で有茎型が多かった(p<0.05)。C、D群間に有意差なし。病理はA群は低異型度腺腫72.4%、高異型度腺腫または癌27.6%、B群64.0%、36.0%、C群70.6%、29.4%、D群56.5%、43.5%で、C群とD群間に有意差を認めた(p<0.05)。【結論】初回治療において、男性で、病変数が多く、サイズが大きく、右側病変を伴い、有茎性病変を伴えば、経過観察中に治療が必要な腺腫または癌が発生しやすい。Index lesionが発生するには初回の組織所見がより大切である。
索引用語 大腸腺腫, 長期経過