セッション情報 一般演題

タイトル O-29:

リステリア菌血症を併発したクローン病合併妊娠の1例

演者 菊池 英純(青森県立中央病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
共同演者 高橋 一徳(青森県立中央病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 島谷 孝司(青森県立中央病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 伊藤 智子(青森県立中央病院 消化器内科), 金澤 浩介(青森県立中央病院 消化器内科), 棟方 正樹(青森県立中央病院 消化器内科), 沼尾 宏(青森県立中央病院 消化器内科), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
抄録 【症例】32歳女性【既往歴】特記事項なし【現病歴】18歳発症の大腸小腸型クローン病で痔瘻膣瘻の合併あり。1999年大腸亜全摘術+シートンドレナージ、2005年小腸狭窄形成術(6か所)施行して術後よりInfliximabを開始、2011年腰麻下肛門管拡張術の治療歴がある。肛門管と直腸小腸吻合部に狭窄があり、膣瘻からも便汁が漏出する状態であった。2011年より挙児希望の訴えがあり、人工肛門造設や排卵機能検査などを検討されていた。しかし2012年2月に自然妊娠が判明、外来にて5ASAとInfliximabを中心とした治療を継続した。2012年5月に右側腹部痛と発熱で外来受診、腹部超音波検査にて腸管外に圧痛を伴う低エコー領域を認め、膿瘍が強く疑われ同日入院となった。【経過】産科病棟に入院となり、産科・消化器内科が併診した。腟内には便汁を認め、産科が連日腟内洗浄を施行。消化器内科は絶食、中心静脈栄養と抗生剤治療を行った。入院後は徐々に発熱と腹痛が改善した。入院中もInfliximabの治療は継続した。母児ともに経過は安定し食事再開したものの、7月末に腹部症状を伴わない発熱・悪寒が出現。血液培養にてListeria. monocytogenesを検出した。その後も抗生剤治療を継続したが、8月10日より性器出血がみられ、8月13日に陣痛発来し切迫早産となった。同日緊急帝王切開施行(妊娠31週1日)、女児を出産した。児は体重1268gでNICUに入室した。【考察】リステリア感染症は妊婦で特に重症化しやすく、早産・死産の原因となる。胎盤を通過して新生児敗血症も併発しうる。抗TNFα製剤による免疫抑制下の妊婦では特に注意を要する感染症である。
索引用語 クローン病, 妊娠