セッション情報 一般演題

タイトル O-58:

非典型的な画像所見を示したインスリノーマの一例

演者 小豆嶋 立頼(岩手医科大学 医学部 消化器肝臓内科)
共同演者 小穴 修平(岩手医科大学 医学部 消化器肝臓内科), 小坂 崇(岩手医科大学 医学部 消化器肝臓内科), 赤坂 理三郎(岩手医科大学 医学部 消化器肝臓内科), 春日井 聡(岩手医科大学 医学部 消化器肝臓内科), 柴田 將(岩手医科大学 医学部 消化器肝臓内科), 安孫子 幸人(岩手医科大学 医学部 消化器肝臓内科), 久多良 徳彦(岩手医科大学 医学部 消化器肝臓内科), 廣田 茂(岩手医科大学 医学部 消化器肝臓内科), 遠藤 昌樹(岩手医科大学 医学部 消化器肝臓内科), 千葉 俊美(岩手医科大学 医学部 消化器肝臓内科), 滝川 康裕(岩手医科大学 医学部 消化器肝臓内科), 佐藤 孝(岩手医科大学 医学部 病理学講座), 無江 良晴(岩手医科大学 医学部 病理学講座)
抄録 【症例】76歳女性【主訴】意識障害【家族歴】特記事項なし【既往歴】55歳時:両側腎結石,20歳時:虫垂炎【現病歴】平成24年2月頃より朝方の失行症状出現し食事摂取後に改善するといった症状出現.徐々に症状頻回となり同年12月13日朝昏睡状態で発見され近医へ救急搬送された.PG:28mg/dlであり低血糖発作の診断で当科紹介となった.【臨床経過】PG33mg/dl,IRI14.9μU/dl,Fajan指数:0.45,Turner指数:466.7とインスリン抑制のない低血糖認めインスリノーマ疑われたがCT,腹部エコー,MRCPではPNETの典型的なhypervascularな腫瘍像を示さず,腫瘍の局在も指摘不能であった.PETでは膵頭頸部の集積が尾部と比較しやや高めであったが腫瘍の診断には至らなかった.局在診断のため選択的動脈内カルシウム注入試験(SACI試験)施行したところ,胃十二指腸動脈での肝静脈内インスリン値が負荷前の4倍までステップアップ見られた.また腹腔動脈造影で膵頭部に10mm程度の淡い濃染像を認め,膵頭部腫瘤の存在が疑われた.超音波内視鏡と造影ソナゾイドエコー施行すると膵頭体部移行部近傍に8.7mm×7mmの被膜を形成のない境界不明瞭・内部不均一な腫瘤として指摘された.ドップラーでは血流なく,造影エコーでも腫瘍内の血流は認めず,画像上はインスリノーマとしては非典型的であったが各種画像検査より膵頭部領域の小インスリノーマと診断し,当院外科で腫瘍核出術を施行した.切除病理の免疫組織染色ではクロモグラニンA陽性,シナプフィジン陽性,インスリン陽性,核分裂像<2/10HPF, Ki67 index 1%でPNETG1のインスリノーマと確定診断した.【考察】切除病理では境界明瞭な腫瘤であったが各種画像所見では典型的なインスリノーマとしての画像が得られなかった.一般的には血流に富む腫瘍であるが,実際には多血性のものから乏血性のものまで様々な画像所見を呈することが知られている.本症例は比較的小さな腫瘍であったこともありhypervascularな腫瘍像を示さなかったと考えられた.【結語】非典型的画像の小インスリノーマの腫瘤の存在診断に対してはEUS, SACI試験が有用であった.
索引用語 インスリノーマ, 膵腫瘍