セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-62:入院糖尿病患者の食事療法における問題点 ―特に蛋白質摂取量と血清アルブミンに関して― |
演者 | 田中 光(弘前市立病院 内科) |
共同演者 | 東野 博(弘前市立病院 内科), 中畑 久(弘前市立病院 内科), 坂本 十一(弘前市立病院 内科), 山形 亮(弘前市立病院 内科), 相原 智之(弘前市立病院 内科), 清野 祐輔(弘前市立病院 内科), 飯野 勢(弘前市立病院 内科), 佐竹 美和(弘前市立病院 内科), 今 昭人(弘前大学医学部内分泌代謝内科), 佐藤 江里(弘前大学医学部内分泌代謝内科), 松本 敦史(弘前大学医学部内分泌代謝内科), 松橋 有紀(弘前大学医学部内分泌代謝内科), 柳町 幸(弘前大学医学部内分泌代謝内科), 長谷川 範幸(国保板柳中央病院内科), 丹藤 雄介(弘前大学医学部保健学科), 中村 光男(弘前市医師会健診センター) |
抄録 | 【目的】近年、わが国では生活習慣病として糖尿病患者が増加傾向にある。食事療法は糖尿病治療の基本となる重要なものであり、糖尿病患者には食事制限を中心とした栄養指導が行われる。しかし、これまでわれわれは、生活習慣病患者に対する極端な食事制限は、かえって栄養状態を悪化させる恐れがあることを報告してきた。今回われわれは、入院加療を行った糖尿病患者の入院前後の栄養指標に関して比較検討を行った。【方法】対象は、われわれの施設で2~4週間の入院加療を行い、栄養状態良好(BMI18.5kg/m2以上、血清アルブミン3.8g/dl以上、血清総コレステロール140mg/dl以上)で、入院中に高脂血症の治療薬を投与しなかった糖尿病患者45例(男性25例、女性20例、平均年齢59.0±10.4歳)である。対象の入院前および退院時の体重、空腹時血糖、血清総コレステロール、トリグリセリド、血清アルブミンを比較した。【成績】体重は入院前67.0±13.1kgに対し退院時66.2±12.5kg、空腹時血糖は入院前200.1±30.0mg/dlに対し退院時115.8±14.8mg/dl、血清総コレステロールは入院前204.6±21.9mg/dlに対し退院時191.4±19.7mg/dl、トリグリセリドは入院前162.4±120.0mg/dlに対し退院時133.9±72.0mg/dl、血清アルブミンは入院前4.24±0.23g/dlに対し退院時4.12±0.22g/dlといずれも有意な低下を認めた。高コレステロール血症13例のうち8例が、高トリグリセリド血症14例のうち3例が、それぞれ正常値へと改善していた。一方、入院時は全例が血清アルブミン正常であったが、退院時は45例中3例に新たに低アルブミン血症(血清アルブミン3.8g/dl未満)を認めた。新たに低アルブミン血症をきたした3例は、いずれも肥満の高齢者であり、入院前に比べて蛋白質をはじめとした食事摂取量が大きく制限されていた。【結論】糖尿病患者に対する食事制限は、高脂血症および血糖値を改善させる一方、血清アルブミン低下などの低栄養状態を引き起こす可能性がある。 |
索引用語 | 蛋白質, 血清アルブミン |