セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-25:サイトメガロウィルス初感染から腸管穿孔を示し緊急手術を要した潰瘍性大腸炎の一例 |
演者 | 川上 瑶子(東北大学大学院消化器病態学分野) |
共同演者 | 志賀 永嗣(東北大学大学院消化器病態学分野), 小野寺 基之(東北大学大学院消化器病態学分野), 日下 順(東北大学大学院消化器病態学分野), 内藤 健夫(東北大学大学院消化器病態学分野), 只野 敏浩(東北大学大学院消化器病態学分野), 平本 圭一郎(東北大学大学院消化器病態学分野), 奈良 志博(東北大学大学院消化器病態学分野), 松下 勝則(東北大学大学院消化器病態学分野), 宮澤 輝子(東北大学大学院消化器病態学分野), 下平 陽介(東北大学大学院消化器病態学分野), 黒羽 正剛(東北大学大学院消化器病態学分野), 遠藤 克哉(東北大学大学院消化器病態学分野), 木内 喜孝(東北大学大学院消化器病態学分野), 下瀬川 徹(東北大学大学院消化器病態学分野) |
抄録 | 【症例】29歳、男性 【既往歴】特記事項なし 【現病歴】2004年に前医で潰瘍性大腸炎(左側大腸炎型)と診断された。2010年5月(1回目の再燃時)に6-mercaptopurine(6-MP)、2011年6月(2回目の再燃時)にtacrolimusの投与を開始され、転居に伴い2011年8月当科紹介となった。この時点では軽症であり、外来でトラフ値の管理を継続したが、10月末から39℃台の発熱を認めるようになった。S状結腸内視鏡検査(SCS)ではほぼ寛解に近く、サイトメガロウィルス(CMV)アンチゲネミアが陽性(CMVIgM、IgGは陰性)であったことから、発熱はCMV初感染によるものと診断した。tacrolimus、6-MPを中止し、入院治療に同意が得られなかったため、外来でvargancicrovirの内服を開始した。その後も解熱せず徐々に全身状態の悪化、汎血球減少を認めたため、11月11日当科入院となった。 【入院後経過】CMVアンチゲネミアは入院直後より陰性化しており、gancicrovirの投与は行わず、CMV高力価γ-globulin製剤、抗生剤の投与を行った。しかし汎血球減少はさらに進行し、高熱も持続、肝機能障害と凝固能異常も認め、CMV感染を契機としたウイルス関連血球貪食症候群(VAHS)が疑われた。39℃台の発熱が6週間以上も持続していたため、ステロイドパルスを行ったところ、速やかに解熱し血球減少も改善傾向であった。ステロイド投与4日目頃から血便が出現。SCSにて直腸からS状結腸にかけて深掘れの打ち抜き潰瘍が散在しており、CMV腸炎の合併が疑われた。ステロイドを急速に減量しながら経過を見たが、12月20日に腸管穿孔を来し緊急手術となった。手術標本では横行結腸に微小穿孔を認め、病理組織学的に穿孔部でCMV陽性細胞が確認された。 【考察】本症例は潰瘍性大腸炎で免疫抑制療法中にCMV初感染により腸管穿孔まで来した一例であった。IBDのように免疫抑制療法を要する疾患の治療に際し、CMVをはじめとしたウイルス抗体価の確認の重要性が示された。若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, CMV |