セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
O-05:メチル酸イマチニブの少量長期投与が奏功している高齢者出血性胃GISTの1例
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演者 |
山居 聖典(大館市立総合病院 消化器・血液・腫瘍内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座) |
共同演者 |
中川 悟(大館市立総合病院 消化器・血液・腫瘍内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 相澤 弘(大館市立総合病院 消化器・血液・腫瘍内科), 吉原 綾子(大館市立総合病院 消化器・血液・腫瘍内科), 小笠原 仁(大館市立総合病院 消化器・血液・腫瘍内科), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座) |
抄録 |
【症例】88歳 女性【主訴】黒色便【既往歴】40歳・68歳:胃潰瘍、82歳~:高血圧【現病歴】平成24年7月21日より食欲低下、22日朝に多量の黒色便を認め、23日当科初診。眼瞼結膜貧血、直腸診で黒色便、採血でHb 6.0 g/dlと高度貧血を認めた。緊急上部消化管内視鏡検査(EGD)施行し、胃体上部後壁に中心に深掘れの潰瘍を有する粘膜下腫瘍を認め、精査加療目的に入院となった。【経過】CTにて、胃体上部後壁壁外に74×51mm大の内部不均一で分葉状の腫瘍を認めた。EGDの生検病理の結果、HE染色で紡錘形細胞の錯綜を認め、免疫化学染色でCD34陽性・c-kit陽性・vimentin陽性、desmin・α-SMA・S-100はいずれも陰性。以上よりGISTと診断された。高齢であり手術リスクを鑑みて本人・家族が手術は希望せず化学療法を選択されたため、8月7日よりイマチニブ 400mg/日で内服開始した。内服1ヵ月後の評価CTで、腫瘍は43×30mm大に縮小、EGDにおいても潰瘍の瘢痕化、腫瘍の縮小・平低化を認めた。一方で、食欲不振、両側胸水・腹水・皮下浮腫の出現、白血球や血小板の減少がみられたため、利尿剤追加とイマチニブを200mg/日に減量した。その後、速やかに浮腫と白血球が改善したため利尿剤を減量したところ、11月に再度、全身浮腫・胸水貯留とHb 6.9 g/dlまでの低下を認めた。利尿剤増量と輸血を施行し、浮腫と貧血の改善を認めた。12月よりイマチニブ 100mg/日に減量したところ、以降副作用は認めず治療効果も維持された。現在も100mg/日の内服加療で、腫瘍増大や肝転移することなく約10ヵ月経過し、外来通院加療中である。【結語】今回、出血を契機に発見された高齢者の胃GISTに対して、イマチニブの本邦における初期推奨投与量400mg/日で奏功したものの、副作用により減量せざるを得なかったが、少量長期投与によりPRを維持している症例を経験したので報告する。 |
索引用語 |
胃GIST, イマチニブ |