セッション情報 一般演題

タイトル O-54:

壁在結節を伴わない分枝型IPMNより発生したIPMN由来浸潤癌の1例

演者 路川 陽介(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科)
共同演者 洞口 淳(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 野田 裕(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 小林 剛(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 伊藤 啓(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 越田 真介(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 菅野 良秀(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 小川 貴央(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 枡 かおり(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 藤田 直孝(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器内科), 及川 昌也(仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化器外科), 藤島 史喜(東北大学病院 病理部), 澤井 高志(岩手医科大学医学部病理学講座 先進機能病理学分野)
抄録 症例は79歳、女性。平成14年より膵尾部に径50mm大の嚢胞性病変を指摘されていたが、本人の希望により近医で経過観察となっていた。平成24年4月、以前より高値を呈していたCA19-9が5,263 U/mlとさらなる上昇を認めたため、精査加療目的に当科紹介となった。腹部USでは、膵尾部に径50mm大の類円形の嚢胞性病変を認め、内部には隔壁様構造がみられた。また嚢胞内腔にはsludge様の構造物が充満していた。EUSでは、描出範囲内に隔壁肥厚所見や壁在結節などは指摘できなかった。造影CTでは、嚢胞内の隔壁が明瞭に描出され、さらに嚢胞に隣接して脾臓に突出するように15mm大の低吸収域を認めた。同腫瘤は早期相で造影効果に乏しく、門脈相、平衡相で遅延濃染され、通常型膵管癌の存在が疑われた。MRIで嚢胞内部はT1、T2共に高信号を呈していたが、嚢胞と連続した脾内の腫瘤は同定できなかった。ERCPでは膵管の拡張はみられず、膵管と嚢胞との交通は指摘できなかった。以上よりMCNまたはIPMNに合併した浸潤性膵管癌が疑われ、当院外科にて脾合併膵体尾部切除術を施行した。切除標本の嚢胞内には茶色のsludgeと粘液が充満し、嚢胞と連続して脾内に20mm大の白色調腫瘤を認めた。組織学的に嚢胞上皮は粘液を含有する異型細胞からなり、壁在結節を形成する所見はみられず、丈の低い乳頭状隆起の形態を呈し、この上皮から連続して間質及び脾臓へ浸潤する管状腺癌を認めた。また、ovarian-type stromaはみられず、estrogen receptor及びprogesteron receptor染色は陰性であった。特殊染色の結果を含めて、gastric typeの分枝型IPMNに由来した浸潤癌と診断した。最終病理診断はinvasive IPMC, tub1, cystic type, Pt, 分枝型, 53x45x40mm, i-TS 24mm, pTS3, sci, INF β, ly0, v0, ne0, mpd+, pCH-, pDU-, pS+, pRP+, pPV-, pA-, pPL-, pOO+, pN0, pM0, fStageIVa, D1, R0であった。今回われわれは、壁在結節を伴わない分枝型IPMNより発生したIPMN由来浸潤癌を経験したので報告する。
索引用語 IPMN, 浸潤癌