セッション情報 一般演題

タイトル O-14:

DICを合併した低分化型大腸癌の1例

演者 加納 隆輔(石巻赤十字病院 消化器内科)
共同演者 赤羽 武弘(石巻赤十字病院 消化器内科), 山本 康央(石巻赤十字病院 消化器内科), 門馬 大輔(石巻赤十字病院 消化器内科), 松浦 真樹(石巻赤十字病院 消化器内科), 海野 純(石巻赤十字病院 消化器内科), 島田 憲宏(石巻赤十字病院 消化器内科), 蒲 比呂子(石巻赤十字病院 消化器内科), 富永 現(石巻赤十字病院 消化器内科), 朝倉 徹(石巻赤十字病院 消化器内科), 今井 源(石巻赤十字病院 腫瘍内科), 大堀 久詔(石巻赤十字病院 腫瘍内科), 高橋 徹(石巻赤十字病院 病理)
抄録 【症例】65歳、女性【主訴】右下腹部・右腰背部痛 【既往歴】来院1ヶ月前から左外転神経麻痺【現病歴】急性腎盂腎炎疑いで近医より当院に紹介された。【現症】意識清明、BT 38.7℃、BP 115/61、HR 106bpm、SpO2 96%(room air)【検査所見】WBC:10600、Hb:9.0、Plt:13.9万、CRP:18.29、CEA:160.3、CA-19-9:61.1【経過】来院時の造影CTにて盲腸から上行結腸にかけて壁肥厚と周囲の脂肪織濃度上昇・リンパ節腫大・肝S2に腫瘤を認めた。また、蝶形骨洞に軟部構造と蝶形骨洞の壁の一部が菲薄化、消失している所見を認めた。回盲部癌・転移性肝癌として当科入院とした。CFにて全周性の腫瘍性病変を認め、病理にて低分化腺癌であった。その後、術前検査を進めていたところ、解熱傾向であったにもかかわらず、血小板の低下がみられ、入院7日目のDICスコアがSIRS基準(-)、Plt:4.8万、PT-INR:2.25、FDP:58.5より7点で、播種性血管内凝固症候群(DIC)と診断した。同日からトロンボモジュリンを開始し、原疾患に対してmodified FOLFOX6(mFOLFOX6)を開始した。入院8日目に左鼻から出血を認め、耳鼻咽喉科コンサルトしたところ、出血の原因が、来院時のCTにて所見を認めた蝶形骨洞からで、この部位にも転移があると考えられた。その後入院18日目にはDICを離脱した。3クール目が終了した段階で腫瘍マーカーがCEA:15.0、CA19-9:19.8と著明に低下した。その後副作用の出現や腸閉塞も起こさず、6クール目まで施行し、3月23日自宅退院。以降外来にて化学療法継続中で、腫瘍マーカーの再上昇やCT画像上腫瘍の増大や新規病変は認めずにいる。【考案】造血器悪性腫瘍や乳癌にDICを合併することは稀でないが、大腸癌にDICを合併することは稀で、予後は極めて厳しいと報告されている。本症はPET未施行であるが、DIC発症時に白血球分画内骨髄芽球の出現を認めたことから播種性骨髄癌症であった可能性がある。【結語】今回急激にDICに進行したが、抗DIC治療に加え、化学療法が奏功しDICから離脱できた低分化型大腸癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 DIC, 低分化型大腸癌