セッション情報 一般演題

タイトル O-34:

シングルバルーン内視鏡にて病変を観察し、診断・治療に至った小腸原発悪性リンパ腫の1例

演者 永井 博(岩手県立胆沢病院)
共同演者 諸井 林太郎(岩手県立胆沢病院), 市川 遼(岩手県立胆沢病院), 下山 雄丞(岩手県立胆沢病院), 木村 智哉(岩手県立胆沢病院), 石山 文威(岩手県立胆沢病院), 矢口 圭(岩手県立胆沢病院), 萱場 尚一(岩手県立胆沢病院)
抄録 【症例】79歳男性【現病歴】平成25年3月頃より下痢・腹痛があり近医にて入院加療を受けていた。前医入院中に貧血・タール便を認め、腹部CTにて右下腹部に腫瘤性病変を認めたため、4月1日精査加療目的に当院へ転院となった。【入院時現象】右下腹部に可動性不良な腫瘤を触知した【入院時検査】採血検査:軽度の貧血、炎症反応の上昇あり。CEA,CA19-9は基準値内、sIL-2Rは919U/mlと上昇していた。腹部CT検査:骨盤内に内腔を有する径cmを超える腫瘤を認めた。明らかなリンパ節腫大や遠隔転移は確認されなかった。上部消化管内視鏡検査:慢性胃炎、バレット食道のみ。シングルバルーン小腸内視鏡検査:バウヒン弁より12~3cm程度口側の回腸に、全周性の潰瘍性病変を認めた。病変は易出血性であり、水溶性造影剤を流したところ、病変に一致して管腔の拡張を認め、CTで確認された内腔を伴う腫瘤性病変であると考えられた。病変より口側の腸管は可視範囲で正常であった。生検の結果はmalignat lymphomaであった。大腸は異常所見を認めなかった。【入院後経過】当院外科にて回盲部切除術が施行された。免疫染色でCD20+,CD79a+,CD10+,bcl-2+,CD3-,CD5-,pankeratin-であり、Malignat lymphoma(diffuse large B cell lymphoma)の診断にいたった。今後は化学療法を施行予定である。【考察】小腸原発悪性リンパ腫は比較的まれな疾患であるが、消化管原発リンパ腫の中では20~30%を占めている。小腸原発悪性腫瘍の中では悪性リンパ腫は30~40%を占め癌、GISTなどと並び、比較的頻度が高い腫瘍でもある。小腸内視鏡の普及に伴い、今後遭遇する可能性が高い疾患の1つであり、小腸腫瘍の鑑別疾患として重要であると考えられる。今回、小腸内視鏡にて病変を確認できた小腸悪性リンパ腫の1例を経験した。若干の文献的考察を踏まえ報告する。
索引用語 シングルバルーン, 小腸リンパ腫