セッション情報 一般演題

タイトル O-43:

肝細胞癌に対するB-TACEの一治療経験。

演者 蒲 比呂子(石巻赤十字病院 消化器内科)
共同演者 赤羽 武弘(石巻赤十字病院 消化器内科), 加納 隆輔(石巻赤十字病院 消化器内科), 山本 康央(石巻赤十字病院 消化器内科), 門馬 大輔(石巻赤十字病院 消化器内科), 松浦 真樹(石巻赤十字病院 消化器内科), 海野 純(石巻赤十字病院 消化器内科), 島田 憲宏(石巻赤十字病院 消化器内科), 富永 現(石巻赤十字病院 消化器内科), 朝倉 徹(石巻赤十字病院 消化器内科)
抄録 肝細胞癌に対するTACE(Transcatheter arterial chemoembolization)では、塞栓の度合いが治療効果を左右するが、肝門部や尾状葉の腫瘍、濃染が淡い場合には、栄養血管が細く治療が不十分となりやすい。2011年5月に3Frのバルーンカテーテル(Attendant-LP)が発売され有用性の報告が散見されるが、5Frのガイディングカテーテルの中にしか入らず造影量が少ないなどの問題点があった。今回2013年5月に4Frのカテ-テルに入り造影量も多い3Frのバルーンカテーテル(LOGOS)が発売され、尾状葉の肝細胞癌のTACEに使用し良い感触を得たので報告する。【症例】64歳男性。【主訴】肝機能障害。【現病歴】近医内科で肝障害を認め、精査目的にH25年3月28日当科紹介となる。【検査結果】T.Bil 1.1、D Bil 0.6、AST 155、ALT 61、LDH 262、ALP 474、γGTP 584、WBC 4300、RBC 320万、Hb 12.7、PLT 22.3万、HBsAg(-)、HCV Ab(-)、AFP 21.7、PIVKA-II 202。腹部USでIVCに接する約3cm大の低エコー腫瘤を認め、CTの造影早期で濃染し肝細胞癌と診断した。【入院後経過】4月24日入院。ICG R15 31.2%と高値。腫瘍径はRFA可能な大きさであったが、IVCに接しcooling effectによる効果減弱の可能性を考えTACEで加療する事とした。4月25日腹部血管撮影。S1に腫瘍濃染を認め、栄養血管へ選択的にバルーンカテーテルを挿入し、ミリプラ、ジェルパートにてB-TACE(Balloon occluted transcatheter arterial chemoembolization) を行った。治療後のCTでS1の肝細胞癌にdenseなミリプラの貯留を認めた。ソナゾイドエコーの血管相、並びにRe-injectionで腫瘤内に明らかな血流の残存を認めなかった。【考察】当院ではバルーンカテーテルはまだ十数例しか経験していないが、バルーンの近位部まで十分に目的の血管に挿入する必要がある、交通枝が造影される事で予定外の部位に薬液が注入される、バルーンの拡張によるinjuryの恐れ、など幾つかの問題点を有するものの、本症例のように通常のTACEでは不十分な治療になりやすい細い栄養血管症例では有用な治療と考えられた。今後症例を重ねて適応を検討したい。
索引用語 肝細胞癌, B-TACE