セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル O-18:

大腸のinflammatory myoglandular polyp9例の報告と検討

演者 佐藤 尚子(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野DELIMITER同病理学講座 分子診断病理学分野)
共同演者 安孫子 幸人(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 山本 一成(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 亀井 將人(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 小豆嶋 立頼(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 横山 直記(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 赤坂 理三郎(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 小坂 崇(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 柴田 將(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 久多良 徳彦(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 廣田 茂(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 遠藤 昌樹(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 千葉 俊美(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 滝川 康裕(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 上杉 憲幸(同病理学講座 分子診断病理学分野), 菅井 有(同病理学講座 分子診断病理学分野)
抄録 1992年にNakamuraらによって,既存の分類には当てはまらない大腸ポリープをinflammatory myoglandular (以下IMG)polypとして提唱されてから、2009年までに60例が報告されている.その病理組織学的特徴は放射状に延びる粘膜筋板の増殖,粘膜固有層の炎症性肉芽組織,しばしば嚢胞状の拡張伴う腺窩の過形成があり、内視鏡的特徴は表面平滑,発赤調で一部白苔を伴う有茎性ポリープである.発生部位は左側結腸で単発性とされている.今回我々は右側結腸に認められたIMGpolyp2例も含め9例のIMGpolypを経験したので報告する(症例1)69歳男性 主訴 便潜血反応陽性 大腸内視鏡所見 上行結腸に発赤調の有茎性ポリープを認め、polypectomy施行.長径は7mmであった. (症例2)75歳男性 主訴 便潜血反応陽性 大腸内視鏡所見 上行結腸に発赤調の有茎性ポリープを認め、polypectomy施行.長径は10mmであった.いずれの症例においても間質の炎症と過形成性の腺管構造からなるポリープであり,表層にはびらんを伴っていた.粘膜固有層内には平滑筋束が放射状に走る像があり、IMGpolypに矛盾しない所見であった.(結果)当科でのIMPpolypは全例が男性であったが,年齢は20~76歳と特徴的ではなかった.発見経緯は便潜血反応陽性が最も多く(8/9例)無症状であり,1例は下血であった.部位は上行結腸の2例以外は左側結腸に認められていた. 内視鏡所見は、全てが有茎性であり、頭部は表面平滑な発赤調の球体であり、頭部に対し比較的茎部は長い傾向にあった。また頭部表面にびらんなどの所見が認められた例は多くはなかった(2/9例).またポリープ切除時,この他に腺腫を認めた症例は多く(8/9例)、単発例は1例のみであった。切除されたIMPpolypの長径は20mmを超える例は1例のみであった.術前診断はいずれもIMGpolypとは異なっており,摘除標本で診断が確定されていた.今回の9例には悪性化例は認められなかった.(結語) IMGpolypの成因は不明であり,報告が少ない.これまで悪性化の報告例もないため、切除の必要性については検討必要であり,今後も症例の積み重ねが必要と考えられた.
索引用語 inflammatory myoglandular polyp, 大腸ポリープ