セッション情報 一般演題

タイトル O-56:

分枝型IPMCによる膵頭十二指腸切除4年後に残膵に出現した主膵管型IPMN由来浸潤癌の1例

演者 三浦  裕子(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科)
共同演者 菊池 弘樹(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 山尾 陽子(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 杉村 美華子(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 岩渕 正広(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 木村 憲治(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 鵜飼 克明(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 田所 慶一(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科)
抄録 【症例】71歳女性【主訴】心窩部痛、嘔気【既往歴】H21年12月重症急性膵炎(CT grade3)で当科入院加療された際、膵頭部に腫瘍に占拠された2.2cm径の嚢胞性病変が認められ膵頭十二指腸切除術を施行。IPMC、non-invasive、Jap 6th; pT2pN0cM0、StageIIの診断で、主膵管内進展、切除断端ともに陰性でありMUC1(-)、MUC2(-)、MUC5AC(+)、MUC6(+)であった。UFT内服の上、当科外来で経過観察されていた。【現病歴】平成25年1月心窩部痛、嘔気が出現し当科入院となった。腹部dynamic CTで主膵管の拡張と膵周囲脂肪織濃度の上昇といった軽症膵炎の所見と、膵尾部主膵管内に約40mmの乳頭状腫瘤を認めた。腫瘤は腹部MRIで拡散強調画像で高信号で、US、EUSでは膵実質と比較してやや低エコーで、乳頭状の増殖を示し、主膵管内をほぼ占拠していた。ERCPは膵管開口部不明であり不成功だった。以上の結果から異時性に出現した主膵管型IPMCの疑いで、当院外科で残膵全摘術を施行、病理結果はIPMCで一部間質に浸潤を認めた。Jap 6 th; pT2pN0cM0、StageIIで、切除断端は陰性。粘液形質はMUC1(-)、MUC2(+)、MUC5AC(+)、MUC6(+)と、初回手術時の組織とは異なる発現パターンを呈した。【考察】今回手術標本では腫瘍の首座は主膵管内で、一部分枝にも進展が認められたが、切除断端は陰性だった。初回手術時術前検査では尾側膵に明らかな病変はなく、病理診断でも膵頭部の主膵管内には進展はなく、切除断端も陰性であった。粘液形質の発現様式にも差異が認められ、異時性にde novoに出現した可能性を否定できないと考えられた。本症例は当初、non invasiveな分枝型IPMCの診断だったが、再発の危惧からUFTが投与されていたにも関わらず、異時性に主膵管型invasive IPMCが出現したと考えられた。【結語】分枝型IPMCによる膵頭十二指腸切除4年後に残膵に出現した主膵管型IPMN由来浸潤癌の1例を経験した。IPMCの術後経過観察の重要性と自然史を考える上で示唆に富む症例と考え報告する。
索引用語 膵臓, IPMC