セッション情報 | 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄) |
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タイトル | W-18:腸間膜リンパ節膿瘍を呈したYersinia enterocolitica感染症の一例 |
演者 | 渡邉 健(秋田大学 医学部 附属病院) |
共同演者 | 藤田 曜(秋田大学 医学部 附属病院), 神 万里夫(秋田大学 医学部 附属病院), 松橋 保(秋田大学 医学部 附属病院), 大場 麗奈(秋田大学 医学部 附属病院), 畠山 夏美(秋田大学 医学部 附属病院), 小泉 重仁(秋田大学 医学部 附属病院), 澤口 昌亨(秋田大学 医学部 附属病院), 俵谷 伸(秋田大学 医学部 附属病院), 渡部 昇(秋田大学 医学部 附属病院), 南 慎一郎(秋田大学 医学部 附属病院), 鈴木 優響(秋田大学 医学部 附属病院), 眞嶋 浩聡(秋田大学 医学部 附属病院), 大西 洋英(秋田大学 医学部 附属病院) |
抄録 | 【症例】74歳女性【主訴】腹痛、発熱【現病歴】2012年7月27日から右下腹部痛を自覚し、28日には39度台の発熱を認め近医を受診し、急性虫垂炎疑いで当院に紹介受診となった。同部に圧痛、反跳痛を認め、腹部超音波、腹部CT検査では虫垂炎の所見は認めないが回盲部の腸管壁の肥厚が著明であった。血液検査上も炎症反応が高値であり、何らかの消化管感染症が疑われ入院となった。【入院後経過】絶食補液及びFMOXの点滴投与にて加療を開始した。症状はやや軽快したが38~39度台の発熱が続き、血液検査上の炎症反応は継続していた。徐々に右下腹部から心窩部にかけて連なるように圧痛を呈する部位が広がり、入院中に施行した腹部超音波、腹部CT検査にて上腸間膜動脈背側から回盲部にかけて隔壁構造を認める最大径8cm大の複数の嚢胞性病変の出現を認め、臨床経過と併せて膿瘍と考えられたため、8月4日、外科に転科し回盲部切除、膿瘍ドレナージ術を施行された。膿瘍は盲腸の漿膜下層に多発していたほか、回盲部から十二指腸に至る腸間膜に連珠様のリンパ節膿瘍を認めた。膿培養よりYersinia enterocoliticaが同定された。術後経過は良好であった。【考察】Yersinia属には現在11菌種が分類されているが,エルシニア感染症は一般的に,腹痛、下痢などの食中毒様症状を主徴とするY.enterocoliticaとY.pseudotuberculosisによる感染症を示す.汚染された豚肉やペットを始めとする動物の糞便、井戸水などから経口感染する。リンパ組織に嗜好性が強く、リンパ節やpeyer板の分布に一致して感染し、典型的には終末回腸炎、腸間膜リンパ節炎などの臨床像を呈する。抗菌薬への感受性も高く比較的予後良好の感染症で、本例のように膿瘍を形成することは、比較的稀であり、文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 | エルシニア腸炎, 腸間膜リンパ節膿瘍 |