セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル O-51:

当科で経験した早期胆嚢癌の2例

演者 藤谷 拓(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科)
共同演者 木村 憲治(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 吉田 はるか(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 宍倉 かおり(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 塩塚 かおり(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 阿子島 裕倫(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 高橋 広喜(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 鵜飼 克明(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 鈴木 博義(国立病院機構 仙台医療センター 臨床検査科), 田所 慶一(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科)
抄録 【症例1】63歳男性。B型肝炎無症候性キャリアとして近医で経過観察されていた。H23年10月にB型肝炎精査目的に当科紹介となり、スクリーニングで施行されたUSで胆嚢体部に約10mm大のIp型ポリープを指摘された。US、EUSでは内部エコーは不均一で、ドップラーエコーでは内部に太い血管の存在が示唆された。CT、MRIでは造影早期での造影増強効果が認められた。ERCPでは明らかな膵胆管合流異常は指摘されず、形態は一部平面を持った不整な円形を呈した。MRI拡散強調画像では一部高信号を呈した。悪性を否定できないとの判断で胆嚢摘出術が施行された。進達度mの早期癌の診断であった。【症例2】46歳男性。H23年に人間ドックの腹部エコーで4mmの胆嚢ポリープを指摘されていた。経過観察となっていたがH24年11月の腹部エコーで増大傾向が認められ、当科紹介となった。EUSでは胆嚢頸部に11mm大の楕円形Ipポリープであったが、内部エコーは壁に比べて低エコーを呈した。CT、MRIでは早期濃染を認めた。ERCPでは明らかな膵胆管合流異常は指摘されなかった。1年での増大傾向が明らかで1cmを超えていたため外科的治療の方針となった。胆嚢摘出術が施行され、進達度mの早期癌の診断であった。【考察】胆嚢癌は一般に発見時に既に進行していることが多く、切除率は約30%に過ぎないとされている。早期胆嚢癌は、深達度が粘膜内ないし固有筋層内に留まるものと定義されているが、一般に切除例の20%に満たないと言われている。形態的には、Ip、Is、IIa、IIb、IIc、IIIに分類されるが、IIc、IIIの報告はないとされる。頻度としては、渡辺らの報告ではIp 12%、Is 23%、IIa 37%、IIb 28%で、Ipは比較的稀である。診断にはUS、特にEUSが有用であり、ポリープ表面および基部の不整像、内部エコーの不均一性、造影度合いが重要とされている。また、急激な増大傾向が外科的治療の判断材料になりうると考えられる。結石や胆嚢炎あるいは胆嚢腺筋症などにより癌の所見がマスクされる場合が少なくなく注意が必要とされている。【結語】比較的稀なIp型の早期胆嚢癌の2例を経験したので文献的考察とともに報告する。
索引用語 早期胆嚢癌, 胆嚢ポリープ