セッション情報 一般演題

タイトル O-40:

CHOP療法により発症したde novo B型肝炎の一例

演者 水野 恵(山形大学 医学部 第二内科)
共同演者 奥本 和夫(山形大学 医学部 第二内科), 勝見 智大(山形大学 医学部 第二内科), 冨田 恭子(山形大学 医学部 第二内科), 佐藤 智佳子(山形大学 医学部 第二内科), 西瀬 雄子(山形大学 医学部 第二内科), 渡辺 久剛(山形大学 医学部 第二内科), 齋藤 貴史(山形大学 医学部 第二内科), 上野 義之(山形大学 医学部 第二内科)
抄録 近年、リツキシマブによるde novo B型肝炎が問題となり、ガイドラインが作成されたが、ステロイドや他の化学療法施行時においても注意が必要である。今回、CHOP療法にて生じたde novo B型肝炎を経験したので報告する。【症例】64歳、男性。【主訴】微熱、倦怠感。【既往歴】60歳 一過性脳虚血発作、高血圧症。【現病歴】2003年12月に皮膚T細胞性リンパ腫と診断され、CHOP療法を4コース、VP-16+PSL内服を15コース施行し、2008年以降は寛解を維持していた。2012年1月にリンパ腫が再発し、4月からCHOP療法を 4コース施行した。10月の採血で肝機能障害が出現し、2003年には陰性であったHBsAgが陽転化していたため、de novo B型肝炎の疑いで当科入院となった。【入院時検査所見】T-Bil 1.4 mg/dl, AST 130 U/l, ALT 441 U/l, LDH 219 U/l, ALP 350 U/l, γ-GTP 85 U/l, WBC 7340/μl, Plt 21.5万/μl, PT 92.0%, HBsAg(+), HBsAb(-), HBcAb(+), HBeAg(-), HBeAb(+), HBV DNA 2.9 Log copies/ml, HCV Ab(-), ANA(-), AMA(-) 【経過】de novo B型肝炎と診断してエンテカビル0.5mg/日の内服を開始し、肝機能は改善した。肝生検では、門脈域に炎症細胞浸潤を認めるが線維化は見られず、巣状壊死を認め、de novo B型肝炎に矛盾しない所見であった。HBV DNAはエンテカビル開始5か月後には検出感度以下となった。【考察】de novo B型肝炎は、リツキシマブ併用化学療法や移植に伴う免疫抑制療法時での発症が多いが、本例はリツキシマブを併用しない化学療法で発症した症例であった。肝炎は重篤ではなかったが、ステロイド使用や化学療法時にはde novo B型肝炎の危険性を考慮し、治療開始前にHBc抗体とHBs抗体を測定するとともに、定期的にHBV DNA量をチェックしていく必要があると思われた。【結語】CHOP療法により発症したと考えられるde novo B型肝炎の一例を経験した。リツキシマブを用いなくともde novo B型肝炎の危険性があり、ガイドラインを順守する必要がある。
索引用語 de novo B型肝炎, CHOP