共同演者 |
佐藤 勤(市立秋田総合病院 外科), 若林 俊樹(市立秋田総合病院 外科), 新保 知規(市立秋田総合病院 外科), 藤田 正太(市立秋田総合病院 外科), 高清水 清治(市立秋田総合病院 外科), 太田 栄(市立秋田総合病院 外科), 長谷川 傑(市立秋田総合病院 外科), 伊藤 誠司(市立秋田総合病院 外科), 提嶋 まさと(市立秋田総合病院 病理診断科) |
抄録 |
【はじめに】G-CSF産生腫瘍は肺癌、甲状腺癌、膀胱癌などさまざまな悪性腫瘍が報告されているが、肝内胆管癌の報告は非常に稀である。今回、我々は切除可能なG-CSF産生肝内胆管扁平上皮癌を経験したので報告する。【症例】70歳代、女性【主訴】発熱、体重減少【既往歴】19歳虫垂炎手術、高血圧症【現病歴】2012年12月に体重減少のため近医受診し、貧血を指摘された。1ヵ月後、精査目的に前医紹介受診したところCTおよび肝生検で肝内胆管癌の疑いと診断された。発熱のため同院入院し、絶食、抗生剤で治療するも改善せず、ナプロキセン投与で解熱した。入院中に再度施行したCTでは、遠隔転移やリンパ節転移は明らかでなく、手術目的に当科紹介受診した。当院のCTで肝S4に腫瘍を認め、PET-CTでは肝腫瘍以外に転移を示す異常集積は認めないため、手術適応ありと判断し、3月4日に当科入院となった。【検査所見】血液検査:WBC 19100/μl, CRP 12.1 mg/dl, G-CSF 109 pg/ml CEA 9.7 ng/ml, CA19-9 19.1 U/ml, AFP 2.5 ng/ml, PIVKA-II 30 mAU/ml。CT検査:肝S4を中心に境界明瞭で辺縁に造影効果を認める、内部低~等吸収で不均一な腫瘤を認めた。PET-CT検査:肝S4を中心に高集積を認めた。他に、全身の骨髄にびまん性の高集積を認めた。転移を示す異常集積は認めなかった。【入院後経過】以上の所見よりG-CSF産生肝内胆管癌の診断で、3月8日に肝中央2区域切除術を施行した。術後経過は良好であり、大きな合併症なく退院となった。【病理所見】腫瘍の組織型は扁平上皮癌を主体とする肝内胆管癌の診断で、胆嚢および十二指腸浸潤を認めた(Im(-)、eg、fc(+)、fc-inf(-)、sf(-)、s0、n0、vp0、vv0、va0、b0、sm(-)、f0、ly0、v0、stageII)。【考察】G-CSF産生肝内胆管癌は、発熱・好中球増加などの随伴症状を伴う場合があり、診断に時間を要することが多い。また、その予後は一般的に不良であるとされている。治療は早期に診断し、切除することが第一であると考えられる。したがって、肝腫瘤に発熱を伴う場合にはG-CSF産生腫瘍も念頭に入れ、鑑別診断を進めるべきであると考えられた。 |