セッション情報 | 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄) |
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タイトル | O-07:mDCF療法が著効し経口摂取可能となった切除不能進行胃癌の1例 |
演者 | 中岡 宙子(秋田赤十字病院 消化器病センター) |
共同演者 | 山野 泰穂(秋田赤十字病院 消化器病センター), 武藤 理(秋田赤十字病院 消化器病センター), 吉川 健二郎(秋田赤十字病院 消化器病センター), 高木 亮(秋田赤十字病院 消化器病センター), 原田 英嗣(秋田赤十字病院 消化器病センター), 田中 義人(秋田赤十字病院 消化器病センター), 青木 敬則(秋田赤十字病院 消化器病センター), 檜森 亮吾(秋田赤十字病院 消化器病センター), 永塚 真(秋田赤十字病院 消化器病センター), 片野 優子(秋田赤十字病院 消化器病センター) |
抄録 | 本邦の胃癌治療ガイドラインにおける標準化学療法はS-1+CDDP療法であるが,経口摂取困難な症例には施行が難しく,他のレジメンを検討する必要がある.今回われわれは経口摂取困難な切除不能進行胃癌に対しdocetaxel+cisplatin+5-FUを用いたmDCF療法を施行し,奏功を得られた症例を経験したので報告する. 症例は50歳代,女性.主訴は経口摂取困難,嘔吐,体重減少.2012年7月中旬から食欲不振,嘔吐が出現.流動食のみの摂取で2週間で約10kgの体重減少を認めたため,同年8月当科を受診.上部消化管内視鏡検査では胃穹隆部から前庭部までおよぶほぼ全周性の壁硬化像,伸展不良所見を呈し高度狭窄,易出血性を示す病変を認めた.生検にてGroup 5,adenocarcinoma(por2+sig)を得て4型進行胃癌と診断した.CT検査にて膵への直接浸潤が示唆され,腹部大動脈周囲リンパ節転移(#16a2),腹膜播種,腹水貯留を認め,Type4,cT4b cN(+),cH0,cP1,cM1(LYM) cStage4と診断した.なお腫瘍マーカー(CEA,CA19-9,AFP)は正常範囲内であった.経口不能のため,S-1+CDDP療法は選択できず,8月下旬よりmDCF(DTX 40mg/m2,l-LV 200mg/m2,5-FU 400mg/m2, day1.5-FU 2000mg/m2 day1-2.CDDP 40mg/m2 day3.)療法を開始.2コース目終了後に行った上部消化管内視鏡検査では壁肥厚・伸展性は改善傾向を示し,CT検査でも胃壁肥厚の改善がみられ,腹水も消失した.3コース目終了までに十分な経口摂取も可能となり,G3以上の有害事象も認めなかった.その後S-1+CDDP療法に変更して4コース施行.さらなる腫瘍縮小効果を認め,現在S-1単独療法に移行し,治療開始10カ月存命中である. 本邦では経口摂取困難症例に対する化学療法のエビデンスが乏しい.自験例ではV325試験においてCDDP+5-FU療法に比し無増悪生存期間や全生存期間を有意に延長させ,奏功率も高いDCF療法に着目した.grade3-4の毒性発現が69%と極めて高いため,各薬剤を減量したmDCF療法を施行.有害事象を認めず,治療効果が得られQOLの著明な改善を認めたので文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 | 胃癌, DCF |