セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル O-30:

診断と治療に難渋した偽膜性腸炎の1例

演者 永塚 真(秋田赤十字病院 消化器病センター)
共同演者 山野 泰穂(秋田赤十字病院 消化器病センター), 高木 亮(秋田赤十字病院 消化器病センター), 吉川 健二郎(秋田赤十字病院 消化器病センター), 原田 英嗣(秋田赤十字病院 消化器病センター), 田中 義人(秋田赤十字病院 消化器病センター), 青木 敬則(秋田赤十字病院 消化器病センター), 中岡 宙子(秋田赤十字病院 消化器病センター), 檜森 亮吾(秋田赤十字病院 消化器病センター), 片野 優子(秋田赤十字病院 消化器病センター), 小松田 智也(秋田赤十字病院 消化器病センター), 斎藤 さとみ(秋田赤十字病院 消化器病センター), 佐藤 健太郎(秋田赤十字病院 消化器病センター)
抄録 【症例】82歳女性【主訴】下痢【既往歴】42歳 虫垂炎、52歳 子宮筋腫、72歳 右膝人工関節置換術、73歳 髄膜腫、79歳 上行結腸癌(右半結腸切除術施行)【経過】胆石性膵炎のため当院に入院となり、入院第2日病日よりSBT/CPZ 2g/dayを5日間投与しESTを施行された。第8病日より1日8行の下痢を認め、改善が認められなかったため下部内視鏡検査を施行したところRb~Spまで著明な偽膜形成を認め偽膜性腸炎を強く疑ったが、内視鏡時に採取した便汁、粘膜生検ではC.difficile(以下CD)毒素、培養共に陰性であった。しかし臨床的に偽膜性腸炎を疑ったためVCM 2g/day×7日間を内服開始とし、下痢症状改善を認めたため第17病日に退院となった。しかし第21病日に下痢症状の悪化を認め第23病日に再入院となった。第26病日に下部内視鏡検査を施行し再びRb~Tdまで偽膜を認めたため偽膜性腸炎再燃を疑ったが内視鏡時に採取した便汁、粘膜生検ではCD毒素、培養共に陰性であった。しかし臨床的に偽膜性腸炎再燃を疑いMNZ 1000mg/day×7日間を内服開始とし下痢症状の改善は認めたが、第45病日に1日10行の下痢を認めたためVCM 2g/day×14日間を内服開始とした。その後徐々に下痢症状は改善し第59病日の下部内視鏡検査では偽膜の消失を認めた、内視鏡時に採取した便汁、粘膜生検ではCD毒素、培養共に陰性であった。その後再燃は認めていない。【結語】下痢症状を伴い、内視鏡的に偽膜性腸炎を呈する疾患はCDによる偽膜性腸炎とされている。しかし本症例は典型的な画像所見を呈し同部からの直接検体採取を行ったにも関わらずCDを検出するに至らなかった。診断と治療に難渋した偽膜性腸炎であり文献的考察を加えて報告する。
索引用語 偽膜性腸炎, Clostridium difficile陰性