セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル O-42:

再発肝細胞癌に対しTACE併用SBRTが有用であった1例

演者 梅津 輝行(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科)
共同演者 鵜飼 克明(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 阿部 泰明(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 藤谷 拓(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 三浦 裕子(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 菊池 弘樹(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 吉田 はるか(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 宍倉 かおり(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 山尾 陽子(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 塩塚 かおり(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 杉村 美華子(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 阿子島 裕倫(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 野口 謙治(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 田邊 暢一(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 木村 憲治(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 岩渕 正広(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 真野 浩(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 田所 慶一(国立病院機構 仙台医療センター 消化器内科), 奈良崎 覚太郎(国立病院機構 仙台医療センター 放射線科)
抄録 【はじめに】近年、肝細胞癌に対する体幹部定位放射線治療(SBRT:Stereotactic Boby Radiotherapy)の有用性が報告されている。今回、肝動脈塞栓術(TACE)併用SBRTが奏功した例を経験したので報告する。【症例】89歳、男性【現病歴】平成18年、前医にて肝S8に単発、2cm大の肝細胞癌が発見され、5月及び9月に当院でラジオ波焼灼療法(RFA)を施行。退院後は近医にてフォローされていたが、平成24年11月にCTで肝S8、RFA治療部の頭背側に15mm大の再発を認め、治療目的に当院紹介となる。【検査所見】Child-Pugh5点。HCV抗体陽性、AFP2.2ng/ml、PIVKA-2 15mAU/ml。EOB-MRIにて肝S8ドーム下、RFA治療部の頭背側に18mm大の多血性成分と乏血成分の混在する肝細胞癌の再発を認めた。【経過】年齢からは肝切除は勧め難く、部位的にはRFAが困難であり、また乏血成分があることからTACE単独では治療が不十分と判断し、TACE併用のSBRTを施行する方針となった。同年12月、右肝動脈前区域枝にてミリプラチンを用いてTACE施行。治療後のCT検査では、リピオドールの沈着は斑状であった。平成25年1月、残存するリピオドールをガイドに治療計画を立てて呼吸停止下SBRT(総量52.5Gy、7分割)を施行。7日間の照射中、明らかな副作用はなく、照射終了の翌日に退院。治療終了3ヶ月目の効果判定CTでは腫瘍の造影効果は消失し、かつサイズは著明に縮小した。また治療後の肝予備能はChild-Pugh5点で、照射前後で著変を認めなかった。【考察】SBRTとは、ピンポイント照射として知られ、放射線を6-8方向から1点に集中照射する治療である。そのため、従来よりもはるかに多い線量を少ない回数で照射することが可能である。また副作用も少なく高齢であっても可能とされる。近年、HCCに対するSBRTの局所制御率や生存率に関し良好な成績が複数報告されており、SBRTは他の局所治療の適応困難な患者に対する治療法の選択肢の一つとなり得るものと考える。【結語】超高齢の再発肝細胞癌に対し、TACE併用SBRTが有用であった1例を経験した。腫瘍に沈着したリピオドールがマーキングとなり、安全で確実な照射が可能であった。
索引用語 肝細胞癌, 放射線治療