セッション情報 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄)

タイトル O-45:

術前に確定診断が困難であった限局性結節性過形成(FNH)の一例

演者 西塚 麻代(日本海総合病院 消化器内科)
共同演者 嶋田 奉広(日本海総合病院 消化器内科), 宮澤 弘哲(日本海総合病院 消化器内科), 菅原 心平(日本海総合病院 消化器内科), 池田 千咲(日本海総合病院 消化器内科), 澤田 直也(日本海総合病院 消化器内科), 菅原 俊樹(日本海総合病院 消化器内科), 早坂 高志(日本海総合病院 消化器内科), 吉田 尚美(日本海総合病院 消化器内科), 折居 智彦(日本海総合病院 消化器内科), 青木 政則(日本海総合病院 消化器内科), 鈴木 義広(日本海総合病院 消化器内科), 今泉 和臣(今泉クリニック), 本間 清明(日本海総合病院 治療内視鏡科), 名和田 義高(日本海総合病院 治療内視鏡科)
抄録 【症例】26歳女性【主訴】特になし【現病歴】2012年3月の人間ドックで肝腫瘤を指摘され、精査目的に当科紹介受診となった。【既往歴】特記事項なし【海外渡航歴】なし【家族歴】特記事項なし【薬剤歴】なし【検査所見】血液生化学検査やAFP、PIVKA値に異常なし。腹部超音波検査上、B-modeでは肝S2-3に最大径55mm大の境界がやや不明瞭で内部がモザイク状の低エコー腫瘤を認めた。ソナゾイド造影では、早期動脈相で良好な造影効果を示し、後期血管相、Kupffer相で等エコーとなり造影欠損を示さなかった。造影CT検査上、動脈相にてわずかに造影効果がみられた。後期相で造影欠損を示した。MRI検査上、病変に皮膜構造を認めず、拡散強調画像でbright intensityでT2強調画像では周囲の肝実質よりもlow intensityだが、プリモビストのdynamic studyにおいて動脈相で高い造影効果を示した。門脈相ではiso intensityとなるが、肝細胞相では造影欠損として描出され、肝細胞癌が否定できなかった。【経過】慢性の肝疾患を伴わない若年者であるが画像検査の結果からは肝細胞癌が否定できず、稀であるがFibrolamellar carcinomaも考え肝外側区域の部分切除術を行った。切除した標本の病理結果は、線維性隔壁が中心部から放射状に伸び、悪性所見を認めないことなどから、限局性結節性過形成と診断された。【考察】FNHは約70%に病理組織学的に中心瘢痕を持つとされるが、残り30%にこの特徴的な所見を欠く症例が存在すること、また病変内に通常網内系細胞を有するが、画像的にKupffer細胞の存在を証明されない症例があり肝細胞癌との鑑別が困難な場合があるとされる。今回の症例の鑑別として肝線種、肝血管腫、肝血管筋脂肪腫なども上げられるが、造影パターンや、MRIのT1、T2強調画像の所見から否定的であった。FNHも考慮したが中心瘢痕も車軸状の造影も見られず、プリモビスト造影の肝細胞造影相にて造影欠損を示しため肝細胞癌を否定できず外科的治療を行った。【まとめ】術前に確定診断が困難であったFNHの症例を経験したので文献的な検討を加えて報告する。
索引用語 肝腫瘍, 画像診断