共同演者 |
鈴木 範明(東北薬科大学病院 消化器内科), 支倉 翔太郎(東北薬科大学病院 消化器内科), 支倉 さやか(東北薬科大学病院 消化器内科), 近藤 史帆(東北薬科大学病院 消化器内科), 松村 吉史(東北薬科大学病院 消化器内科), 宇都宮 恭子(東北薬科大学病院 消化器内科), 米地 真(東北薬科大学病院 消化器内科), 目黒 敬義(東北薬科大学病院 消化器内科), 山本 毅(東北薬科大学病院 消化器内科), 中村 隆司(東北薬科大学病院 消化器外科) |
抄録 |
【症例】32歳, 男性. 【主訴】心窩部痛, 黄疸. 【既往歴】特記すべき事項なし. 【現病歴】一年前より月1回程度の食後心窩部痛を自覚していたが, 最近は月2, 3回と増悪傾向認めた. そのため, 平成24年10月23日近医受診し, 投薬等加療を受けた. しかし, 腹部症状増悪し, さらに皮膚黄染も認めたため, 25日救急車にて当院救急外来受診となった. 初診時, 体温37.2度, 心窩部に著明な圧痛あり, 血液生化学検査上, WBC 11500/μl, CRP 3.93 mg/dlと炎症反応ならびにT-bil 8.5 mg/dl, AST 177U/l, ALT 359 U/l, γGTP 571μ/lと肝胆道系酵素上昇を認めた. 腹部CTでは, 総胆管軽度拡張と胆嚢壁軽度肥厚, 下部胆管と胆嚢内の石灰化像を認めた. 以上より, 閉塞性黄疸を伴う総胆管結石, 胆嚢結石による胆道炎の診断にて同日当科緊急入院となった. 【入院後経過】絶食下に補液や抗生剤投与などの保存的治療を開始した. 入院後施行した腹部USやMRIでは, 胆嚢や総胆管内に結石と考えられる石灰化像や入院時CTと同様の所見がみられた. 本症例は震災復興関連のため他県より一時的に当地で仕事をしていた関係上, 当院では応急処置のみを希望されたため, 胆管チューブステントでの胆道ドレナージを行う方針となった. そのため同日緊急ERCPを施行した. 胆管にカニュレーションした直後, 総胆管内には移動性のある透亮像を認め, 乳頭開口部から白色調の石灰乳胆汁の流出を認めた. 更に胆嚢管の拡張と胆嚢内にも総胆管同様に透亮像を認めた. その後, 当院での継続治療を希望されたため, 当院外科で腹腔鏡下胆嚢摘出術, 総胆管切石術を施行した. 胆嚢ならびに総胆管内にはペースト状の凝塊があり, 胆摘後, 胆道鏡下で酢酸リンゲル液やブラシによる胆管洗浄を施行した. その際, ペースト状の石灰化物質とコレステロール胆石と考えられる結石1個も乳頭部から十二指腸に胆道鏡操作にて排出された. 術後経過良好にて治癒退院となった. 【結語】今回私達は, 石灰乳胆汁を伴った胆石が総胆管に排出され, 胆管閉塞をきたしたと考えられた一例を経験した. |