セッション情報 一般演題

タイトル O-11:

一般病院における胃手術後の合併症の特徴

演者 片山 原子(JR東京総合病院 消化器外科)
共同演者 小山 要(JR東京総合病院 消化器外科), 平田 勝(JR東京総合病院 消化器外科)
抄録 【背景】消化器関連の手術におけるSSIは、それを予防するためのbest practiceに関する知見があっても、外科医個々人のpracticeによる要因が大きく影響し、古い慣習に固執すると改善は容易ではない。今回、同一施設内における、診療グループ別のSSI発生率を分析し、その要因を分析した。【方法】2009年6月-2013年3月までに当院で行われた胃癌手術136例における、SSIの発生につき、SSIの深さ別に調査を行い、診療グループ別の(Group A 対象期間中の常勤医3人: 111例,Group B 対象期間中の常勤医2人: 25例)発生率の比較も行った。手術参加の医師が複数グループで構成されている症例は、主治医の所属するグループに含めて分析を行った。【結果】SSI全体(all SSI)の発生率は16.2%、内訳は、superficial SSI 10.3%, deep SSI 0.7%, organ SSI 9.56%であった。グループ別に、all SSI 9.9% vs 44% (P<0.05), superficial SSI 5.4% vs 32% (P<0.05), organ SSI 5.4% vs 28% (P<0.05)であった。【考察】SSIの頻度については、創部の軽度の発赤も含めて厳しい判定で調査を行っており、全体の発生率が数値上やや高めとなったが、同一施設内の同一診療科内でグループ別にSSI発生率に有意な差が認められた。胃の手術においては、特に膵脾を授動しての徹底的リンパ節郭清や、主病変やリンパ節からの膵浸潤を認めた場合の剥離操作等が、膵液瘻→感染を誘発することがあり得るのは確かではあるが、今回の対象期間では、それが誘引と認められるものはほとんどなく、むしろ、剥離操作における基本手技の違い(sharp dissection中心 vs blunt dissection中心)、手縫いで吻合する場合の丁寧さの違い、腹壁閉鎖時の使用する糸の違い(吸収性モノフィラメント vs 編み糸)、創部に対する操作や皮下に対する処置の違いなどが要因として考えやすかった。【結語】SSI対策には、古い慣習への呪縛から逃れ、best practiceを意識した処置を行う必要がある。同一施設内でも成績差が認められる場合があり、手技の統一および改善をはかることの重要性が示唆された。
索引用語 SSI, 胃