セッション情報 特別企画 初期研修医(卒後2年迄)

タイトル O-03:

治療に難渋した食道静脈瘤破裂の一例

演者 熊田 早希子(岩手県立中央病院 内視鏡科)
共同演者 村上 晶彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院 内視鏡科), 松本 信(岩手県立中央病院 内視鏡科), 天野 良彦(岩手県立中央病院 内視鏡科), 小原 範之(岩手県立中央病院消化器内科), 大方 秀樹(岩手県立中央病院消化器内科), 横山 直信(岩手県立中央病院消化器内科), 城戸 治(岩手県立中央病院消化器内科), 池端 敦(岩手県立中央病院消化器内科)
抄録 【背景】当科で、緊急例でも内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)とエタノールアミンオレイン酸(EO)による内視鏡的硬化療法(EIS)をおこなっている。今回吐血とショックで救急搬送され、血流がはやく、シャントもないため、外科的手術をしたが門脈血栓を合併し、治療難渋した食道静脈瘤破裂の一例を経験したので報告する。【症例】60歳代、男性。既往歴:30歳交通外傷(輸血有) 33歳胃潰瘍。50歳HCV陽性指摘。高ウイルス量でINF無効とされその後放置。飲酒歴は機会飲酒、月2回程度、喫煙歴、20x10年その後禁煙、内服薬なし。現病歴:平成25年 2月14日夕食後吐血あり、近医からHb7,5g/dlで午後8時当院救急搬送。【経過】血小板8,1x104 ,AST43,rGTP20。HCV陽性セロタイプI,HCVRNA 6,2log。血圧80mmHg代。輸血800ccで施行しながら、緊急内視鏡検査施行。巨木型食道静脈瘤あり、EIS+EVLのEISLで止血したが、3日後に再治療するも静脈瘤造影では血流早く排血路、供血路は不明であった。腹腔動脈造影で脾動脈から冠静脈、食道静脈が描出され、供血路は脾動脈と短胃静脈からで排血路は冠状静脈で、シャント形成はなかったため、入院後20日摘脾+Hassab手術する。27病日(術後7日)再度食道静脈瘤破裂してEISL施行した。今回は静脈瘤造影でEOの停滞を確認し止血した。しかし28病日CTで縦隔炎、門脈血栓が判明。抗生剤と低分子ヘパリンの持続投与で治療。32病日EISL後の潰瘍治癒確認し、食事開始、門脈血栓の増悪はなく、38病日ワーファリンに変更して55病日退院となった。【考案】緊急造影CT、静脈瘤造影で血行動態の把握ができず、排血路は冠状静脈でシャント形成なく、外科治療となるも術後再破裂し、門脈血栓症も合併し低分子ヘパリンで治療した。血行動態の把握は静脈瘤治療の鍵であるが、破裂当初はできなかった。【結論】救急で血行動態の把握ができず治療に難渋したC型肝硬変食道静脈瘤破裂の一例を経験したので報告する。
索引用語 食道静脈瘤破裂, 門脈血栓症