セッション情報 | 特別企画 後期研修医(卒後3-6年迄) |
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タイトル | O-20:多発肝転移を来した小型直腸カルチノイド腫瘍の1例 |
演者 | 渋谷 健吾(秋田組合総合病院 消化器科) |
共同演者 | 米山 和夫(秋田組合総合病院 消化器科), 木下 展克(秋田組合総合病院 消化器科), 大高 日本(秋田組合総合病院 消化器科), 津田 栄彦(秋田組合総合病院 消化器科), 和田 勲(秋田組合総合病院 消化器科), 藤井 公生(秋田組合総合病院 消化器科), 星野 孝男(秋田組合総合病院 消化器科), 渡部 博之(秋田組合総合病院 消化器科) |
抄録 | 【症例】70歳、女性【既往歴】高脂血症で内服治療中。【現病歴】近医施行のUSで偶然に発見された肝腫瘤性病変の精査目的に当科紹介となった。受診時、自覚症状の訴えはなかった。当科施行USでは肝両葉にわたり、最大径26mmの高エコー腫瘤が多数認められた。造影CTでは腫瘤は造影効果に乏しかった。MRIではT1WI low intensity、T2WI high intensityを示した。転移性肝腫瘍を疑い、原発病変検索のために消化管検査を施行したところ、CFで直腸Rbに粘膜下腫瘍を認めた。以上の精査目的に入院となった。【経過】直腸粘膜下腫瘍は立ち上がりが明瞭、黄白色、弾性硬、可動性があり、腫瘤表面には明らかな中心陥凹や潰瘍は認めなかった。EUSではφ10mm、浅層に主座をもつ低エコー腫瘤として描出され、のう胞や石灰化は認めず、血流は乏しかった。22G針を用いてFNAを施行し、組織学的にカルチノイド腫瘍と診断され、免疫染色ではcytokeratin陽性、chromogranin陽性、CD56陽性、synaptophysin陽性であった。2010 WHO 分類ではNET G1に該当した。肝腫瘤生検でも同様の組織所見であり、直腸カルチノイドの肝転移と診断した。治療として直腸病変に対してはESDを施行した。断端陰性であったが、深達度sm、静脈浸潤陽性であった。肝病変に対してはバルーンカテーテルによるフローコントロール下にTAIおよびTAEを施行した。治療後CTでは肝腫瘍の縮小または消失が認められた。その後、オクトレオチド徐放剤の投与を開始し、現在まで約6ヶ月間、再燃なく経過観察中である。【結語】直腸カルチノイドでは、小型病変でも稀に肝転移をきたす症例が存在するため注意が必要である。本症例は径10mmと小型で、かつ組織学的にG1の腫瘍であったが、多発肝転移を認めた稀な症例と考えられ、若干の文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 | カルチノイド腫瘍, 転移性肝腫瘍 |