セッション情報 一般演題

タイトル O-04:

Boerhaave症候群の1例

演者 石橋 文佳(青森労災病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
共同演者 荒木 康光(青森労災病院 消化器内科DELIMITER弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座), 西谷 大輔(青森労災病院 消化器内科), 日沢 裕貴(青森労災病院 消化器内科), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座)
抄録 【症例】60歳男性【主訴】心窩部痛【既往歴】59歳 開業医で肝硬変に近い状態と指摘されるも放置。毎日の飲酒歴あり。【現病歴】夕方より会合に出席し、アルコールを多飲した。翌日3時嘔吐1回、下痢1行あった。その後より心窩部痛出現し、同日5時当院へ救急搬送となった。血圧131/63mmhg、脈拍60回/分、体温37.2℃、酸素飽和度96%(room air) 腹部は平坦軟、心窩部に自発痛を認めるも、圧痛や明らかな反跳痛はなかった。腹部X線写真では異常ガス像なく、明らかなfree airも認めなかった。血液生化学検査ではWBC25190/μlと高値である以外は異常なかった。同日急性胃腸炎疑いとして当科入院となった。【経過】入院後も心窩部痛は持続し、腹部に圧痛は乏しいものの、呼吸時の自発痛が強く、次第に呼吸促迫状態となった。通常の胃腸炎とは異なる病態と考えられ、造影CTを施行したところ、両側肺炎、左胸水に加え、縦隔気腫、左気胸を認め、Boerhaave症候群が疑われた。同日当院外科へ紹介、転科となった。食道胃造影では、造影剤は胸部下部食道から左胸腔内へ漏出していた。腹部X線写真を見直してみたところ、NaclerioのV signを呈しており、Boerhaave症候群の確定診断が得られた。透視下でNGチューブ挿入、左胸腔ドレナージ後、同日食道縫合術・大網被覆術が施行された。胸部下部食道に縦4cmにわたり裂創が見られ、責任病変と考えられた。術後縦隔膿瘍を形成したが、保存的に軽快し、第39病日に退院した。【結語】我々はBoerhaave症候群の1例を経験した。緊急手術が必要な疾患であり、診断が遅れた場合死亡率が非常に高くなる。胃腸炎症状が初発でも、心窩部痛に呼吸困難を伴う症例では、Boerhaave症候群も疑い、CTなどの精査を迅速に進めるべきと考えられた。
索引用語 Boerhaave症候群, NaclerioのV sign