セッション情報 シンポジウム 「胃癌2013 -検診・診断・治療のup to date-」

タイトル S-07:

早期胃癌に対するESDの短期・長期成績の検討

演者 小坂 崇(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野)
共同演者 遠藤 昌樹(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 小豆嶋 立頼(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 赤坂 理三郎(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 安孫子 幸人(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 小穴 修平(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 久多良 徳彦(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 廣田 茂(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 千葉 俊美(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 滝川 康裕(岩手医科大学 医学部 内科学講座 消化器・肝臓内科分野), 菅井 有(岩手医科大学 病理学講座 分子診断病理学分野), 鈴木 一幸(盛岡大学 栄養科学部 栄養科学科)
抄録 【目的】早期胃癌ESD症例の短期成績および長期予後について明らかにする.【方法】2002年から2012年3月までにESDを施行した早期胃癌1272症例,1657病変を対象とした.術後病理診断に基づく内訳は,絶対適応(G)群1082例,適応拡大(E)群398例,適応外(O)群177例であった.さらにE群を,潰瘍非合併群[UL(-)/305例],潰瘍合併群[UL(+)/93例]に分けた.また5年以上経過を追えた長期経過観察群は438症例(男性316例,女性122例.平均年齢69.4歳)であった.短期成績(一括切除率,治癒切除率,偶発症),長期成績(局所再発,異時性多発癌,リンパ節・遠隔再発,5年生存率)に関し解析を行った.【成績】一括切除率98.6%[G:99.4%,E/UL(-):97.4%,E/UL(+):98.9%,O:95.5%].治癒切除率84.7%[G:97.3%,E/UL(-):82.0%,E/UL(+):88.2%],E群で優位に非治癒切除率が高い結果であった(P<0.05).偶発症:後出血2.5%[G:1.8%,E/UL(-):3.9%,E/UL(+):4.3%,O:2.8%],穿孔2.5%[G:1.6%,E/UL(-):4.3%,E/UL(+):3.2%,O:7.3%]であった.長期経過観察群は観察期間中央値が73(範囲1-114)か月,追跡捕捉率は95.3%であった.局所再発率は1.1%(5/438)に認め,3例が分割切除例で,2例が側方断端陽性例であった.5例中4例が再ESDで治癒切除となり,1例は再々ESD行うも非治癒のため手術を施行した.異時性再発率は7.8%(34/438)であった.異時性多発癌の累積発生率は100か月で10.2%であった.非治癒切除で手術となった1例にリンパ節転移を認めたが,遠隔転移例は認めなかった.5年生存率は83.1%(G:82.5%,E:84.0%,O:87.2%),異時性異所再発2例で胃癌死を認めたが,ESD治療部位関連胃癌死は認めなかった.【結論】早期胃癌に対するESDは適応拡大病変を含め,根治性の高い治療法であり外科手術と同等に標準治療になるであろうと考える.異時性多発癌が課題のひとつでありH.pylori除菌の徹底,および長期的なFollow upが重要である.
索引用語 早期胃癌, 長期予後