セッション情報 シンポジウム 「胃癌2013 -検診・診断・治療のup to date-」

タイトル S-08:

ESDを利用した胃癌の治療:一括切除は方針決定に有用である

演者 藤島 裕耕(山本組合総合病院 消化器内科)
共同演者 鳥谷 洋右(山本組合総合病院 消化器内科), 富田 一光(山本組合総合病院 消化器内科), 小岡 洋平(山本組合総合病院 消化器内科), 高宮 秀式(山本組合総合病院 消化器内科)
抄録 近年、NBIを始めとした画像強調により胃微小病変の診断が普及している。インジコや酢酸を用いた溶液の散布で病変範囲が明確になることも経験するようになった。同時にESD処置具の進歩により一括切除が可能となり切除標本の大型化や正確な評価が可能となり、その後の治療方針決定に役立っている。しかし内視鏡治療ガイドライン病変外の扱いは施設間で差があるのが現状である。当院で胃癌の診断しESD施行した症例、特にガイドライン適応外病変を検討した(対象)H.22.1からH.25.3 にESDした121例。男性92例、女性29例。年齢73.1才。病変部位:前庭部51病変(42%)、体部49病変(40%)。肉眼分類:IIa 59病変(49%)。大きさ(マージン除く)17.5×12.9mm。一括切除率100%。適応病変80例(67%)。適応拡大病変(以下A群)32例(26%)。適応外病変(以下B群)9例(7%)。AB群追加治療11例(手術10例、ESD1例)。病変部位:A群前庭部16病変(50%)。B群体部4病変(44%)。肉眼分類:A群IIa 11病変(34%)、IIc 10病変(31%)。B群IIa 3病変(33%)。大きさ28.8mm。全体の非根治病変14例(11%)非根治の理由:深達度pSM2以深1例。深達度pSM1で3cm以上1例、脈管リンパ管浸潤陽性5例。側方断端陽性 5例。深部断端陽性1例。組織未分化混在1例。ESD導入により病変の一括切除が可能となった。しかし初期には側方断端陽性例が多く手術例もあった。側方断端陽性例の経過観察は1例に再発認めたがESDで対処可能であった。リンパ管浸潤陽性で手術した1例はN陽性StageIbであった。A群とB群は病変部位に違いがあったが肉眼分類は差がなかった。追加治療例は一括切除による正確な診断が理由と考える。分割切除の場合、多分割になる可能性あり病変の再構築が困難、切除辺縁の評価困難となり過小評価になりうる。ESDで根治と評価した病変の短期間局所再発は認めていない。結語: ESDの普及に伴い正診技術の向上は必要であるが疑診例、非根治病変では今後の経過観察含めた治療方針決定に一括切除可能なESDが有用である。
索引用語 胃癌, 一括切除